2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of non-contrast-enhanced MR lymphangiography for diagnosis of lymphedema
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18K07737
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
小野 敦 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (20804743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒尾 信一 川崎医療短期大学, 放射線技術科, 教授 (40212609)
木股 敬裕 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50392345)
田淵 昭彦 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90620443)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非造影MRリンパ管撮像法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、撮像領域内のリンパ管の形態と流れを非造影で高精度に評価可能なMRリンパ管撮像法の開発を目指し、先ず、血管とリンパ管の実験モデルによる基礎的研究と正常例による臨床的研究で撮像法の標準化を図り、リンパ浮腫患者への臨床応用へと発展させることである。画像化のアルゴリズムは、血中とリンパ液中のデオキシヘモグロビン含有量の差による磁化率効果の違いに着目し、独自に開発したMR静脈画像の撮像技術に磁化率を強調するMR撮像法を組み合わせることでリンパ管のみを明瞭に描出する。 血管とリンパ管の実験モデルを用いた基礎的研究を実施した。 リンパ管と血管のフローファントムモデルは、既製品として存在しないため文献等を参考に製造業者へのオーダーメイドで作製した。実験モデルを四肢のリンパ管と静脈の生理的条件に近似させるため、流速を調節しながら撮像と画像解析を実施した。磁化率変化を強調させる複数のMR撮像シーケンスを候補として検討した結果、流れおよび磁化率による位相分散を強調する双極傾斜磁場(MPG)をpre-pulseに用いるMSDEシーケンスが最も選択的にリンパ管を描出可能であることが明らかとなった。MSDEシーケンスでは、MPGの強度を変化させることが可能であり、MPG強度と撮像パラメータの最適化により静脈に相当する定常血流を選択的に抑制できる可能性が示された。しかしながら、実験モデルの流動発生ポンプは比較的遅い定常流しか供給できなかったため、動脈の評価が不十分となった。引き続き、動脈血流に相当する出力の大きな拍動流を発生可能なポンプを購入し、追加実験する予定である。 臨床研究に先立ち、非造影MRリンパ管画像の画質、臨床的有用性をより適正に評価し、今後の課題を検索するため、加藤勝也教授(川崎医科大学医学部)ならびに森田一郎教授(川崎医科大学医学部)に研究分担者として参加していただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、早期に基礎的検討を終了し、臨床的研究として正常ボランティアを対象に非造影MRリンパ管撮像法の最適化およびリンパ管描出能について検証する予定であった。 しかしながら、リンパ管と動静脈のフローファントムモデルは、すべてオーダーメイドで各パーツが特注品であったため製作に非常に多大の時間と労力を要した。さらに、血管とリンパ管の実験モデルの流動発生ポンプは定常流しか供給できず、最大吐出量が1000ml/minであったため静脈を想定した血流が画質に与える影響の評価は可能であったが動脈に対する評価は不十分となった。熟慮の結果、臨床研究に取り組む前に動脈拍動流の影響を確認する必要があると判断したため、動脈血流を提供可能な出力の大きな拍動流発生ポンプを購入し、追加実験が必要となった。加えて、新型コロナウィルスによる影響のため、動脈拍動流発生ポンプシステムに必要な部品の調達に時間を要し、臨床MRI装置を使用した基礎実験も中断してしまったため、計画が予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
動脈拍動流発生ポンプシステムの発注が可能になり、臨床MRI装置の使用許可が得られ次第、早急に基礎的研究を完了させ、健常ボランティアによる非造影MRリンパ管撮像法の最適化およびリンパ管描出能の評価に取り掛かる予定で準備を進めている。 その後、リンパ浮腫患者への臨床応用として、病期の異なるリンパ浮腫患者5~10名を対象に非造影MRリンパ管画像を撮像し、リンパ管の信号強度、形状および分布の変化を正常例と比較し、リンパ浮腫診断ツールとしての有用性を検証する。 臨床的研究に先立ち、非造影MRリンパ管画像の画質および臨床的有用性の評価者として非造影MRA(血管画像)に対する知識と臨床経験が豊富で日本医学放射線学会放射線診断専門医であり、MRIの臨床読影ならびに研究活動に25年以上携わってきた経験を有する加藤勝也教授(川崎医科大学医学部)と日本外科学会外科・心臓血管外科・日本脈管学会認定脈管専門医であり、リンパ系・血管系疾患の診断と治療の第一人者の森田一郎教授(川崎医科大学医学部)を研究分担者に追加した。この新体制によって、今後、臨床的研究をより適正かつ効率的に推進する。
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Causes of Carryover |
フローファントムの作製遅延により、年度内に物品の全額を購入するに至らなかった。基礎的実験および臨床的研究の遅延に伴い、十分な成果を得ることができず、成果公表を目的とした国際学会への参加ができなかった。次年度は、拍動流ポンプの追加購入後、基礎的実験を早期に終了させ、基礎研究により最適化された非造影MRリンパ管撮像法を用いて健常ボランティアおよびリンパ浮腫患者の臨床研究を終了させる。本年度に使用しなかった拍動流ポンプシステム作製のために必要な物品の購入をするとともに次年度以降に予定する成果発表のための国際学会旅費と参加費、論文等の発表費用および臨床研究の参加ボランティアへの謝金として研究費を使用する方針です。
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