2018 Fiscal Year Research-status Report
analysis of cancer immune reaction by irradiation
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18K07740
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
影山 俊一郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (60644979)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線治療 / がん免疫療法 / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに食道扁平上皮癌KYSE-450, OE-21に対し、Clinac® iX Systemを用いた60Gy/20frのX照射を行い、その経過のtranscriptome (RNA-seq)をipathwayguideを用い解析した。その結果、IRF-1, PD-L1をはじめとした免疫応答遺伝子の強い活性化が示唆された。30年度研究として我々はtranscriptome解析で明らかとなったSTING, IRF1, TypeIインターフェロン応答についてウェスタンブロッティング、ELISA、フローサイトメトリーを用い、たんぱく質レベルで検証を行った。その結果、およそ15Gy/5fr照射後よりたんぱく質レベルでSTING、IRF1、IFNの増加、STATシリーズのリン酸化が生じることが明らかとなった。 次にこれらの免疫応答制御遺伝子の候補としてSTING, IRF1, STAT1等を対象とし、KYSE-450、OE-21の細胞株に対してCrisper/Cas9を用いてノックアウト細胞を作成した。その後各細胞株に対してシークエンスを行い遺伝子欠損を確認した細胞株をそれぞれ樹立した。現在それぞれの遺伝子欠損株に対して放射線照射後の免疫応答を解析しており、放射線による免疫応答の制御因子を確認している。 さらに本研究では細胞株実験のvivoレベルでの検証を行うため、放射線治療対象の食道扁平上皮癌患者に対して放射線治療前、治療中で生検を行い、遺伝子発現変動をIHC, RNA-seqで行う前向き観察研究を計画し、2018年末にIRB承認、2019年3月より開始、現在1症例が登録となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
細胞実験、臨床研究共に問題なく進んでおり、当初の予定通り本研究の完遂は可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線によるがん免疫応答に関する研究は近年増加しており、その分子生物学的メカニズムも明らかにされつつある。我々の研究グループの解析に特徴が3つあり、①実際に食道扁平上皮癌に対する化学放射線治療+PD-L1抗体治療のphaseII studyを平行して行っている(2018年AMED研究)。②臨床検体として放射線治療前後の食道がん組織の解析が可能③in vitro研究としては珍しく多分割照射を用いている。このように臨床試験、検体解析を平行して行い、可能な限り臨床での放射線照射に近い線量を用いることで実際の放射線治療中に生じるがん免疫応答のメカニズムを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
Criper/Cas9システム、ウェスタンブロッティング用の抗体等一部共用試薬が利用できたため支出額が抑えられた。繰越については来年度のたんぱく質解析、臨床検体解析に用いる予定である。
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