2022 Fiscal Year Research-status Report
放射性物質の形態を考慮した吸入内部被ばく線量計算コードの開発
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18K07741
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
岩岡 和輝 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 主幹研究員 (70466051)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 線量評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力発電所事故や放射線災害等により大気中に放出された放射性物質は、呼吸によって体内に取り込まれ内部被ばく(吸入被ばく)する。そのような被ばく者に対して適切かつ迅速な処置を実施し、人体への影響を最小限に抑えるためには、吸入被ばく線量を正確に評価することが重要となる。実際の大気環境中では、放射性物質は大気中の微粒子(大気中に存在する様々な大きさの粉塵)に付着し大きさが多様に変化する。したがって、多様な大きさの放射性物質が存在する環境下(すなわち実環境)における吸入被ばく線量を計算できるコードの開発が急がれていた。本研究は、吸入被ばく線量評価を正確に実施することを目的に、吸入する放射性物質の形態(粒子の大きさ)に応じた吸入被ばく線量を計算するツールを新たに開発するものである。このツールの活用によって、大気環境中の放射性物質の計測を行う実験系研究者(線量評価の専門家でない研究者)であっても自身の測定データから実環境に応じた線量を容易に計算できるようになる。実験に関しては、研究代表者がこれまで実施してきた放射性物質の形態研究や線量計算のシステム化の知見や経験をもとに本ツールの開発を進める計画である。 本年度は、新型コロナウィルスの流行拡大の影響によりこれまで見送ってきた計画(成果発表、季節別の環境中のエアロゾル測定等)の一部を実施した。次年度に、本年度実施できなかった部分について実験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において開発した呼吸気道部位別の沈着割合計算ツールを用いて、実証のためのエアロゾル測定の一部(冬期)を実施した。また、国際会議において成果の一部を発表した。新型コロナウィルスの影響もあったが、計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は新型コロナウィルスの影響により本年度実施できなかった部分のエアロゾル測定等を行い、環境に応じた本ツールの実用性の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響による予定の変更や、新たな測定器の活用等による実験工程の効率化によって、残額が生じた。本計画では、エアロゾルを実測することになっているが、当初の日本(東北)に加え、南の地域(例えば東南アジア)でもエアロゾルを取得することより、本研究で計画している「実際の適用」を気候の違いなども含めた様々な条件で精密に検証することができようになり、本研究の精緻な達成が期待できる。それらの経費に残額を使用する。
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