2018 Fiscal Year Research-status Report
複数体積分割照合法を用いた位置決め患者の治療照射影響評価に関する研究
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18K07744
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田代 睦 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 准教授 (60447274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / 放射線治療 / 患者位置決め / 2D-3Dマッチング / 複数体積分割照合法 / 関心体積 / 変位 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療における日々の患者位置決めでは、治療計画時と比べて内部の解剖学的構造にずれが見られることがあり、照射の確実性が損なわれる恐れがある。その状態での治療照射の影響を位置決め時に確認できる手法を確立することが目的である。 申請者はこれまで、患者位置決め時の関心体積の母体積からの3次元的なずれを定量化する複数体積分割照合法の開発を行ってきた。3D-CTボリュームデータを更に複数に分割し、それぞれの体積を独立に動かしてマッチングを行うことにより、母体積の位置決めと同時に関心体積のずれを定量化および可視化するものである。 当年度は、ファントムおよび実患者データについて、本手法の試験を行った。ファントムとして、胸部ファントムに円柱状のイメージングインサートを挿入したものと、同じく胸部ファントムに縦隔や肺を挿入したものとし、それぞれのCT画像を撮影し、DRRを得るためにアイソセンタ位置を指定した簡易治療計画を行った。イメージングインサートと縦隔・肺をVOIとして手動で変位を与え、治療位置決め画像としてX線画像を得た。実患者については頭頸部がん患者で治療時に顎に変位が見られた例、肝臓がん患者で肝臓に変位が見られた例について、それぞれの変位部分を関心体積として、治療計画CTおよび治療時の位置決め画像を用いて複数体積分割照合法を適用した。それらの結果と技師による手動合わせによる結果の差を本手法の誤差として評価した。その結果、従来の2D-3D自動位置決め法と比べ、母体積および変位のあるVOIに対して良好な照合結果を得ることができ、またその精度も従来法と同等であることが示された。本結果については論文にまとめ、専門誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画として、複数体積分割照合法自体がどの程度正確に患者内部臓器の動きを表すことができるのか、明らかにすることである。計画時と比較して治療時にずれを伴った様々な実症例画像を用いて、関心体積を設定して自動照合を行い、技師による手動照合との比較から、複数体積分割照合法による計算精度を評価する、また、関心体積の設定、マッチング時の関心領域の設定、最適化のパラメータなどの条件を変えて比較を行い、適切な結果が得られるようにし、必要に応じて複数体積分割照合法ソフトウェアの改修を行う、というものであった。ファントムおよび実患者例に対して、本手法の動作および精度について良好な結果が得られたことから、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
複数体積分割照合法がおおむね良好な結果を出すことが明らかとなったため、今後は本手法にて得られた3D-CTボリュームデータの評価へ移る方針である。複数体積分割照合法により関心体積が変位した3次元ボリュームデータを得ること、また、得られたCTボリュームデータに対して重粒子線の線量分布評価を行うため、線量分布計算プログラムを製作する方針である。その後、変位した標的に対して線量分布評価を行う予定である。ここでは特に、線量分布計算を独自に行うプログラムの製作には時間を要する見込みである。
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Causes of Carryover |
解析用の計算機やソフトウェアの購入および国内外の学会参加が予定通り進められなかったため、使用額に差が生じた。
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