2020 Fiscal Year Research-status Report
複数体積分割照合法を用いた位置決め患者の治療照射影響評価に関する研究
Project/Area Number |
18K07744
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田代 睦 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 准教授 (60447274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 粒子線治療 / 患者位置決め / 動態定量化 / 複数体積同時照合 / 模擬CTボリューム / 線量分布計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療における日々の患者位置決めでは、治療計画時と比べて内部の解剖学的構造にずれが見られることがあり、照射の確実性が損なわれる恐れがある。その状態での治療照射の影響を位置決め時に確認できる手法を確立することが目的である。 申請者はこれまで、患者位置決め時の関心体積の母体積からの3次元的なずれを定量化する複数体積分割照合法の開発を行ってきた。3D-CTボリュームデータを母体積と関心体積に分割し、それぞれの体積を独立に動かしてマッチングを行うことにより、母体積の位置決めと同時に関心体積のずれを定量化および可視化するものである。そして、そのマッチングの際に得られる疑似3D-CTボリュームデータが、位置決め時のX線画像の患者状態を表すものであることから、そのボリュームデータを利用して線量分布計算を行うことにより、治療計画から治療時に変化した患者の照射影響を評価すること、また本技術が適用可能な症例や標的位置、動き方を明らかにすることが具体的な目的である。 当年度は、昨年度に引き続きファントムおよび実患者データについて、複数体積分割照合法での様々なパラメータとマッチング結果の妥当性の関係を調べるための試験を行った。ファントムとして、胸部ファントム内に関心体積(VOI)としての構造物を挿入したものを用い、CT画像を撮影し、DRRを得るためにアイソセンタ位置を指定した簡易治療計画を行った。VOIに手動で変位を与え、また、X線視野内に別の体積を設置するなど条件を変えて、治療位置決め画像としてX線画像を得たデータを使用して試験を行った。また、本手法にて出力される3次元ボリュームデータに対して線量分布計算を行うための検討を引き続き行った。現行の治療計画装置と同等の線量計算を行うために線量分布計算アルゴリズムの調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度に引き続き、複数体積分割照合法自体がどの程度正確に患者内部臓器の動きを表すことができるのか、明らかにすることと、線量分布計算を行うための準備を行った。計画時と比較して治療時にずれを伴った様々な実症例画像を用いて、関心体積を設定して自動照合を行い、技師による手動照合との比較から、複数体積分割照合法による計算精度を評価し、また、関心体積の設定、マッチング時の関心領域の設定、最適化のパラメータなどの条件を変えて比較を行い、適切な結果が得られるようにし、必要に応じて複数体積分割照合法ソフトウェアの改修を行う、というものであった。また、線量分布計算を行えるようにするための仕様の調査とプログラムの作成を行っているところである。ファントムおよび実患者例に対して、本手法の動作および精度について良好な結果が得られたこと、また線量分布計算プログラムの調査を行ったが、昨年度の実施予定が本年度に延びており、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
複数体積分割照合法がおおむね良好な結果を出すことが明らかとなっているため、今後は本手法にて得られた3D-CTボリュームデータの評価へ移る方針である。複数体積分割照合法によりVOIが変位した3次元ボリュームデータを得ること、また、得られたCTボリュームデータに対して重粒子線の線量分布評価を行うため、線量分布計算プログラムを製作する方針である。その後、変位した標的に対して線量分布評価を行う予定である。線量分布計算については、医療システムに接続されている既存治療計画装置を用いる方が取り急ぎ線量分布を得る方法として効率的であると考えられるため、まずはそれによって分布を得て評価を行えるようにする予定である。それと平行して多量のデータ解析が行えるようにするために線量分布計算を独自に行うプログラムの製作を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
解析用の計算機やソフトウェアの購入および国内外の学会参加が予定通り進められなかったため、使用額に差が生じた。
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