2018 Fiscal Year Research-status Report
無機ナノ粒子を用いた放射線治療増感効果の最適化の検討
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18K07752
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西村 英輝 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (80444610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
赤坂 浩亮 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (20707161)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 放射線増感 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは独自に合成した過酸化チタンナノ粒子がX線照射により活性酸素種(ROS)を生成し、細胞・動物実験で放射線増感効果が得られることを報告した。そこで本研究では、過酸化チタンナノ粒子と金ナノ粒子との比較を中心に検討した。Cell-free系(ナノ粒子と溶媒のみの系)での、双方のナノ粒子にX線を照射し、ROS特異性を持ついくつかの試薬を用いてROSの定量行った。金ナノ粒子では放射線照射によるヒロドキシラジカルの産生が認められたが、過酸化水素の発生は過酸化チタンナノ粒子でより多量に認められた。いずれのナノ粒子においてもスパーオキシドの発生は僅かであった。ナノ粒子の細胞内取り込みと増殖抑制の評価は、ヒト膵臓がん細胞株であるMIAPaCa2細胞を用いて放射線照射と併せて実施した。金ナノ粒子、過酸化チタンナノ粒子では共に細胞内の取り込みは認められたが、放射線照射によるアポトーシスの誘導は金ナノ粒子では僅かであり、過酸化チタンナノ粒子では増強が認められた。コロニーアッセイを用いた細胞増殖抑制効果に関してもアポトーシスの結果と一致して、過酸化チタンナノ粒子でより強く認められた。さらに、双方のナノ粒子をMIAPaCa2を用いたXenograftモデルの腫瘍に対して局注したが、X線照射併用による腫瘍増殖抑制効果は金ナノ粒子に比較して、過酸化チタンナノ粒子でより強く認められた。これらの細胞実験、動物実験の結果は、過酸化チタンナノ粒子による過酸化水素の発生と放射線照射による過酸化水素の更なる発生に起因すると考えられるが、それに反応するようにMIAPaCa2細胞にカタラーゼやグルタチオンなどの抗酸化系酵素の誘導が確認出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子の物性評価に関しては、ほぼ100%達成出来ている。Cell-free系でのX線照射によるROS生成量測定に関しても100%達成出来ている。In vitroでのナノ粒子の細胞内取り込みと毒性の評価とIn vivoでのX線照射併用による抗腫瘍効果の検証も一種類の細胞株を用いて確認出来ているが、今後複数の細胞株でも検証できればなお明確になると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
過酸化チタンナノ粒子の表面抗原の検討と、ナノ粒子を臨床試験でも使用可能な容易GMP準拠で合成していくことが望まれる。更に非臨床試験をGLP準拠施設で実施し、Phase I 試験を目指す。
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Causes of Carryover |
ナノ粒子の取り込みによる細胞内のオルガネラの変化や、エクソソーム放出反応を検討する目的で、超遠心装置とスイングロータを共同購入し、その経費の一部を計上したため。
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Research Products
(10 results)