2019 Fiscal Year Research-status Report
臨床肺がんおよび正常肺移植マウスモデルを用いた粒子線治療効果と副作用評価
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18K07780
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
足立 成基 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 難治性疾患研究開発・支援センター, プロジェクト研究員 (60379261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 大成 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 難治性疾患研究開発・支援センター, 研究リーダー (90089871)
梁 治子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 難治性疾患研究開発・支援センター, 研究サブリーダー (90301267)
吉留 克英 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 難治性疾患研究開発・支援センター, 客員研究員 (80598813)
坂巻 靖 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 難治性疾患研究開発・支援センター, 客員研究員 (70623693)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PDXモデル / 粒子線治療 / 炭素線 / SCIDマウス / 肺腺がん / 正常肺組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本人の高齢患者に高発する肺がんに対し術前照射の有意性が検討されている。患者負荷の少ない方法として、粒子線(炭素線並びに陽子線)治療が重視されている。本研究においては、炭素線によるがん治療効果と正常組織への副作用の評価を比較・検討するため、手術摘出後の患者がん組織をSCIDマウスに移植・維持したヒト肺がんおよび正常肺組織PDXモデルを用いることで人体実験を避け、炭素線およびX線によるがん増殖抑制効果比と組織障害の生物効果比を求める。 ヒト肺がん及び正常肺移植実験を行うため、SCIDマウス血中のIgG、IgMを測定し、検出限度以下(<1micro g/ml)のC3H/HeJ-md+ scid/scid LPS-マウスを医薬基盤・健康・栄養研究所動物施設SPF環境下にて生産を行った。 肺がんについては肺がん切除手術の際、生検後の残余部分と治療上切除せざるを得ない正常部分を患者および倫理委員会の承認を得て移植に用いた。 ヒト正常肺組織に関しては、1辺3mmの大きさに切断したヒト正常肺をSCIDマウス両下腿部に移植した。遺伝子発現への影響を調べるため、ヒト正常肺を移植したSCIDマウスに炭素線1Gy、2Gy、X線1Gy、3Gyの照射し、2週間後に摘出した。組織像の変化を見るため、H.E染色を行ったが、炭素線及びX線照射による影響は、2週間後の摘出のためか変化は見られなかった。 ヒト肺がんに関しては、平成30年度の追加実験として肺腺がんについて照射実験を行った。放医研にてヒト肺腺がんを移植したSCIDマウスに炭素線の照射を行った。照射後、経時的にサイズを測定し、がん増殖抑制効果比(RBE)を算出した。ヒト肺腺がんでは、炭素線1、3、5Gy、X線2、5、10Gy照射により線量依存的ながん増殖抑制曲線が得られ、RBEは1.5となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト正常肺組織は、肺がん切除手術の際、治療上切除せざるを得ない正常部分のため提供が少なく、障害の影響を捉えるために照射実験を引き続き行う必要があるが、炭素線による影響を調べるための遺伝子発現解析が行えていない。また、COVID-19の影響により、令和2年度の照射実験の中止が決定されたため、予定していた肺扁平上皮がんおよび正常肺組織の照射が行うことができなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の蔓延により令和2年度の照射中止が決定されているため、これまでに炭素線照射を行った正常肺組織への影響を中心に、遺伝子発現変化についてGeneChipを用いて調べる。また、肺扁平上皮がん及び肺腺がんの照射組織像も観察する予定である。 今年度の照射が中止となり、来年度照射の応募が新たにあるため、SCIDマウスは必要である。移植実験に用いるSCIDマウスの生産、維持管理を引き続き行う。
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