2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of factors that cause the biennial epidemic of influenza C virus and factors that make infected children more severe
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18K07783
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松嵜 葉子 山形大学, 医学部, 准教授 (00292417)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 呼吸器感染症 / 抗原変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度から令和3年度に実施した研究で次の実績を得た。 1.隔年流行と抗体保有率の関係を明らかにすることが出来た。 山形県ではC型インフルエンザの流行が2018年と2020年にあった。サンパウロ系統株が主流だったが、2020年には神奈川系統株が5年ぶりに分離された。2019年に実施した抗体保有調査では、20代以降の年齢層でサンパウロ系統株よりも神奈川系統株に対する抗体保有率が高い傾向があり、2020年の神奈川系統株の小児での分離を予測させるものだった。成人の再感染が抗原性の異なる株への置き換わりに関与することを示すことが出来た。 2.半年ごとに採取した職員血清を用いてC型インフルエンザの再感染率を調べた。5年間の再感染率が17.5%だったこと、小児の流行時期に先んじての成人の抗体上昇を確認できた。小児の流行の無い年でも成人の間でウイルスの伝播が起きており、成人がもつ免疫によって抗原変異株が選択されて次の年の小児の流行が決まる、という当初の仮説を裏付ける成果を得ることが出来た。 3.流行拡大と重症化の要因としてウイルス表面蛋白HEの抗原変異を解析した。2018年のサンパウロ系統株の抗原解析の結果、単クローン抗体YA3との反応性の異なる2つのグループがあることが分かった。遺伝子解析の結果、HE蛋白の190番目のアミノ酸がリシンからアスパラギンにかわっており、この変異によりYA3との反応性が低下した。190番目は立体構造モデルからHE蛋白の中和エピトープの中にあることが判明し、このK190N変異によって流行が拡大する可能性が示唆された。また、分離できた患児の入院率に違いがあったため病原性に関与する可能性も示唆された。しかし、新型コロナウイルス対策の影響により2020年は流行が早期に収束し、2022年は全く分離できなかったため評価できなかった。今後も継続的なサーベイランスが必要である。
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Research Products
(5 results)