2019 Fiscal Year Research-status Report
CDKL5/CDKL3変異によるてんかん・精神遅滞の病態解明と遺伝子治療法の開発
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18K07784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 輝幸 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10246647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CDKL5 / 遺伝子治療 / アデノ随伴ウイルスベクター / ノックアウトマウス / 神経発達障害 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
R1年度は、3xFLAG標識hCDKL5_1発現アデノ随伴ウイルス (AAV) ベクターの、培養細胞への感染及び発現確認実験と、マウスへの投与実験を行った。 胎生17日マウス脳より未熟神経細胞を分離し、poly-D-lysineコートしたガラススライドチャンバー内で培養し、培養3日目にCDKL5 AAV及びコントロールとしてEGFP発現AAVを感染させた。7日後に細胞を固定し、CDKL5抗体、FLAG抗体で免疫染色を行った。別のチャンバー内のニューロンは溶解してwestern blotting (WB)を行った。WBを用いた3xFLAG標識hCDKL5の確認では、感染細胞の溶解産物から目的の分子量相当のバンドが検出されたが、FLAG抗体を用いた免疫染色では、FLAG標識hCDKL5_1AAV感染細胞に非常に弱い反応が認められ、3xFLAG標識hCDKL5の不安定性が示唆された。 培養細胞実験の結果を受けて、3xFLAG標識hCDKL5 AAVの新生仔マウスへの投与実験を開始した。日齢3日のCdkl5ノックアウト (KO) マウスを低体温麻酔し、頭部Lambdaから吻側 1.2 mm、左右両側に 0.7 mmの部分を注射部位として、ガラスキャピラリーを深度 1.6 mmまで刺入し、両側の脳室に2.5ulずつ1分かけてゆっくり投与した(6.5×10E9 vg)。術後マウスをホットプレートで蘇生させ、飼育を続けた。2ヶ月後にhCDKL5 AAVを投与したマウス大脳からmRNAを抽出し、リバースcDNAからPCRとReal-time PCRを行い、また大脳から抽出した蛋白を用いてWBを行った。その結果、3xFLAG標識hCDKL5のmRNAの存在が確認されたが、WBの目的のバンドは非常に薄く、3xFLAG標識hCDKL5が蛋白質レベルで不安定である事が脳室内投与からも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は予定通り、精製したAAV ベクターの、培養細胞への感染及び発現確認実験と、マウスへの投与実験を行ったが、その結果、3xFLAG標識hCDKL5蛋白の培養細胞及びマウス脳内での発現量が非常に低く、確認のための実験を繰り返す必要があった。結局、マウス脳内で予期した量の発現が得られなかったため、組換えhCDKL5の感染性向上のための検討実験が必要となり、予定していたマウスの匹数のスケールを上げた感染実験と効果検証実験を行うことは次年度に延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度は、まず現在の3xFLAG標識hCDKL5蛋白発現AAVによる組換え蛋白量の低い問題を解決するため、プロモーターを現在のSynIから内在性プロモーターへ変更を試みる。同時にC末端の3xFLAG標識が蛋白を不安定化する可能性を考え、標識無しの組換えCDKL5発現AAVの作製を行い、マウス脳内で十分なCDKL5蛋白の発現を目指す。その後、組換え蛋白導入効果を、細胞生物学的実験、行動学的実験で検証する予定である。
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Causes of Carryover |
細胞培養実験、免疫染色、western blotting実験のほとんどを前年度購入した試薬の残分でまかなうことが出来、新規購入する必要がなかったことにより、物品費が予定よりも少なくなった。 次年度には新たな試薬等が必要となり、予定通り研究を進める。
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Research Products
(5 results)