2020 Fiscal Year Research-status Report
CDKL5/CDKL3変異によるてんかん・精神遅滞の病態解明と遺伝子治療法の開発
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18K07784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 輝幸 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10246647)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノ随伴ウイルスベクター / ノックアウトマウス / 神経発達障害 / てんかん / CDKL5 |
Outline of Annual Research Achievements |
R2年度は、前年度の研究で不十分であった組換えCDKL5発現レベルの改善を目的として、アデノ随伴ウイルス (AAV) ベクターのプロモーターとカプシドの改良を行った。 まずAAVベクターに組み込むプロモーター配列を決定するため、マウスCdkl5遺伝子のエクソン1上流800bpから段階的に7領域の配列を、ホタルのルシフェラーゼ遺伝子発現プラスミドpGL4.12にクローニングした。7つのプラスミドと、前年度に作製したAAVベクターで用いたラットSynIプロモーター配列を同様にクローニングしたプラスミドを、ウミシイタケのルシフェラーゼ遺伝子発現プラスミドpGL4.75とともにマウス神経芽細胞腫由来細胞株Neuro2Aに遺伝子導入し、発光度を測定してプロモーター解析を行った結果、エクソン1上流723bp配列による発現が最も高い事を同定した。 この配列をプロモーターとしてCDKL5コーディング領域を発現するAAV-PHP.eBベクターを作製し、32日齢のCdkl5 KOマウスに尾静脈注射により投与した。 投与から14日後と23日後にCdkl5 mRNAの検出、ウエスタンブロッティング、凍結脳切片の免疫染色を行った。mRNAからRT-PCRを行った結果、Cdkl5 full length mRNAの発現を確認した。ウエスタンブロッティングでは組換えCDKL5蛋白の発現量は内在性CDKL5に比べると非常に低く、免疫染色では発現レベルの低いニューロンの中に発現が比較的高いニューロンが散在していた。以上の結果から、マウス内在性プロモーターを用いたAAV-PHP.eBによるCdkl5遺伝子導入は、ラットSynIプロモーターを用いたAAV9ベクターよりも高い発現が可能であることと、さらに発現レベルの増加と安定化が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度の結果を元に、KOマウス脳内での組換えCDKL5発現レベルを上げる事を目標として、新たなプロモーターと、新たなカプシドを用いたAAV-PHP.eBベクターを作製して、感染実験まで行った。ベクター作製のためのプロモーター領域のクローニング、プロモーターアッセイには時間がかかるが、SynIプロモーターよりも発現レベルの高い配列が得られ、AAV-PHP.eBベクターが完成し、尾静脈投与によるマウスへの感染実験から脳内での組換え蛋白の発現まで確認出来、おおむね計画通りに進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、マウス脳内でのより高く安定した組換え蛋白の発現を目指して、AAVベクター投与量、投与ルート、投与時期の検討を行う。安定した発現の実現後、組換え蛋白導入効果を、細胞生物学的実験、行動学的実験で検証する予定である。
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Causes of Carryover |
AAVベクター作製に時間がかかり、マウス脳へのAAVベクター投与実験の開始が年度末になり、in vivo実験用のマウス、行動解析用費用、試薬の購入額が予定より少なくなった。
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