2018 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ活性化症候群の病態解明とIL-18を標的とした新規治療法の確立
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18K07786
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 正樹 金沢大学, 附属病院, 講師 (10401902)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マクロファージ活性化症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージ活性化症候群(MAS)症例について、基礎疾患別にサイトカインプロファイルを比較検討した結果、全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、川崎病(KD)、若年性皮膚筋炎(JDM)のいずれにおいても、MAS合併時には有意に血清neopterin値が上昇しており、MASの発症には共通してIFN-γの過剰産生が認められることを明らかにした。 s-JIAに合併するMAS症例において、その診断マーカーとして、neopterin, IL-18, sTNFR-II, ferritin値のどれが最も有用であるか比較検討した結果、neopterin値が最も有用であることを明らかにした。 病勢コントロールの不良な成人スティル病の母体から出生したMASの新生児例についてサイトカインプロファイル解析を行い、母体と同様新生児においても、血清IL-18値の異常高値を認めていることを明らかにした。これらの結果は母体から児に移行したIL-18がMASの発症に深く関与していることを示唆している。 一方、MASのモデルマウスの作成については、IL-6トランスジェニックにLPSを投与することによって発症するMASモデルマウスについて、まずIL-6トランスジェニックマウスの作成を目指したが、2回にわたって作製したプラスミドDNAベクターの受精卵へのインジェクションを行ったものの、いずれも胎生致死となったため断念した。代わりにWTマウスに浸透圧ポンプを用いてIL-18の持続投与を行い、CpG投与によりMASを発症するモデルマウスの作成を試み、MASを発症させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL-6トランスジェニックマウス(IL-6Tg)へリポポリサッカライド(LPS)を反復投与することによりMASを発症するStrippoliらによって報告されたマウスモデルを作成するため、我々は論文に記載された方法にしたがってIL-6トランスジェニックマウスの作成を試み、2回にわたって作製したプラスミドDNAベクターの受精卵へのインジェクションを行ったが、残念ながらいずれも胎生致死となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最近IL-18結合蛋白欠損モデルにCpGを投与することによりMASを発症する新たなマウスモデルも報告され、IL-18の過剰状態がMAS発症に深く関与していることも報告された。そこで我々は、WTマウスに浸透圧ポンプを用いてIL-18の持続投与を行い、CpG投与によりMASを発症するモデルマウスの作成を試み、MASを発症させることに成功した。現在その免疫学的パラメーターに関する解析を進めている。今後はこの新しいモデルマウスを用いて、計画していたヒト症例との病態との比較検討、IL-18遮断療法の効果について検討していきたい。
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Causes of Carryover |
IL-6トランスジェニックマウスが2度胎生致死となり、研究計画が予定より遅延したため生じた。来年度は新規のマウスモデルの病態解析に助成金を用いる。
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