2018 Fiscal Year Research-status Report
ショウジョウバエモデルを用いたリボソーム病神経障害の分子病態解明と治療探索
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18K07796
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
千代延 友裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40571659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 英樹 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 准教授 (30570600)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / リボソーム / 神経発達症 |
Outline of Annual Research Achievements |
リボソームの生合成に関わる遺伝子の変異による疾患群は「リボソーム病」と総称される。リボソーム病の症状は広範で多臓器に渡り、患者では精神遅滞、自閉スペクトラム症などの神経発達症の合併も認める。本研究はモデルショウジョウバエを用い、リボソーム生合成異常による神経障害の病態解明・治療探索を目的としている。 リボソーム病の一つであるShwachman-Diamond症候群原因遺伝子のショウジョウバエホモログdSBDSを神経特異的にノックダウンした系統を用いて、その表現型を解析した。幼虫を用いたodor-taste learning assayでは学習能力が有意に低下することが明らかとなった。また、drosophila activity monitoring assayでは活動量の有意な増加に加え、睡眠時間の有意な減少を認めた。これらの結果はリボソーム生合成に関わる遺伝子の機能障害がショウジョウバエにおいてヒト神経発達症類似の表現型を呈することを示しており、有用な疾患モデルになりうると考えた。一方で、学習の中枢とされるmushroom bodyの形態を免疫染色で検討したが、幼虫、成虫ともに有意な形態変化は認めなかった。病理学的機序については今後も検討を重ねる必要がある。 また、dSBDSを複眼原基特異的にノックダウンすると、成虫複眼に形態異常(rough eye表現型)を認めた。成虫複眼は観察が容易なことからスクリーニングに適しており、今後遺伝学的相互作用因子の探索に用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リボソーム病ショウジョウバエモデルが神経発達症群類似の表現型を呈することを確認した。今後、本モデルを用いた病態解析・治療探索が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本モデルショウジョウバエの神経表現型をさらに詳細に検討する(社会性、易痙攣性など)。また病理学的異常もさらに解析し、後の治療探索研究で用いる指標を明確にする。 また、成虫複眼形態異常の改善を指標に遺伝学的相互作用因子をスクリーニングする。これにより同定した遺伝子および関連タンパク質の機能を修飾する低分子化合物をモデルショウジョウバエの餌に添加し、神経表現型の改善を確認することにより新規治療を探索する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた平成30年度の国外出張(学会参加)を見合わせたことと、表現型解析を主体に行ったため生化学的解析に予定していた試薬類の購入額が予定より少なかったため。 平成31年度には上記を含めて計画的に使用する。
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