2019 Fiscal Year Research-status Report
病的血管新生に働くVEGF下流分子を標的とする副作用のない未熟児網膜症治療の試み
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18K07801
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
福原 大介 杏林大学, 医学部, 学内講師 (10547805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福冨 俊之 杏林大学, 医学部, 助教 (30439187)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 未熟児網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が病的血管新生に関わることを見出した、VEGF下流分子であるT-cell specific adaptor (TSAd)が未熟児網膜症(ROP)の病的血管新生 にも関わることを明らかにする。更に、TSAd のノックアウトマウスやノックダウンを利用し、ROPの治療標的としての可能性を検証する。現在、TSAd阻害因子の スクリーニングを並行して進めており、そこから得られた低分子化合物を用い、最終的にROPの創薬を目指す。研究の方法は以下の4つのパラグラフで進めてい く。1ROPモデルにおけるTSAdの発現状況:TSAdのRNAとタンパクの発現を明らかにする。2TSAd欠損マウスを用いたROP発症の検討する。3TSAd阻害剤のROPへの 有効性の検討する。4その他のROP発症に関わる因子の探索する。 上記1の検討のため、ROPのマウスモデルを作製し、網膜の血管新生の程度をレクチン染色で確認したところ、確かに中枢側の血管の退縮と硝子体側への血管新 生が観察された。ここで得られた網膜を用い、TSAd分子の転写レベルでの動態をreal-time PCRで比較検討した。ROPモデルにおいて、TSAd分子の上流であるVEGF の網膜における有意な上昇が確認できた。また、同マウスにおいてTSAd分子の上昇も観察された。 上記2の検討において、高濃度酸素飼育により、網膜中枢則の血管の退縮が認められるが、TSAd KOにより退縮の範囲の減少を認めた。病的な血管新生については有意差はないものの、KOにおいて、より多い傾向が見られた。 これらの結果から、何らかの代償機転が働いている可能性があり、その探索と、コンディショナルKOマウスを使用し同様の検討を現在進めている。こちらにおいては、現在、網膜の内皮細胞中で8割以上の範囲でKOができるところまで確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
高濃度酸素下での母および仔マウス飼育において、酸素毒性によると考えられる母マウスの死亡が高頻度に見られるため。また、コンディショナルKOマウスを用いた実験においても、薬剤の投与により新生仔マウスの死亡や発育不良が見られ、サンプル集積に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果からノックアウトマウスでは代償起点 が働いている可能性が考えられたため、実験計画にあるように、TSAd KOマウスにおいて網膜症発症時に野生型マウスと異なる動態を示す分子を質量解析を行い、現在結果を待っている段階である。また、これらの代償因子の影響を受けずに検討を行うために、後天的KOである内皮細胞特異的TSAd KOマウスを用い、同様の検討を 行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度は引き続きマウスの購入・飼育費および高濃度酸素環境を維持するための酸素ボンベの購入費用 が必要となる。さらには、実験計画に示している試薬の購入と、今後必要となるin vitroの実験系のために、培養内皮細胞株の購入費用に充てる。
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