2018 Fiscal Year Research-status Report
新しい高精度心電信号解析を用いた小児期遺伝性不整脈の診断と致死的不整脈の発生予測
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18K07813
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀米 仁志 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50241823)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝性不整脈 / 先天性QT延長症候群 / 遺伝子変異 / 心電図 / 心筋再分極過程 / 独立成分分析 / 主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が所属する筑波大学附属病院、茨城県立こども病院をはじめとする小児循環器関連病院、および他県の病院で先天性QT延長症候群(LQTS)、カテコラミン誘発多形心室頻拍症(CPVT)、その他の遺伝性不整脈または心筋症と診断された小児例およびその家系メンバーを対象として、次世代シークエンサーを用いて既知の遺伝子変異のスクリーニング検査を行った。H30年度末までにLQTS 20例、その他の不整脈8例、心臓突然死症例3例、心筋症6例の計37例の解析を行った。その結果、通常の学校心電図検診や症状で検出されるLQTSから頻度の高いLQT1、LQT2、LQT3の変異が検出され、新たな遺伝性不整脈家系が診断された他、胎児新生児期に発症する重症型LQTSや新生児のBrugada症候群など、世界的にみても報告の価値のある遺伝性不整脈を診断することができた。 周波数2,000ヘルツのサンプリングが可能な新しい高精度デジタル心電計を用いた研究では、主にLQT7型(Andersen-Tawil症候群)の心電図記録を行った。H30年度末までに13例のデータを収集をすることができ、再分極過程を解析対象として、通常の時間・振幅指標のほかに、独立成分分析、主成分分析を行った。その結果、T波を構成する独立成分の数はLQT7群では全例で健常対象者と同じ4個であったが、LQT7型に特徴的なU波が、T波成分とは関連しない独立な独立成分で構成されるという新しい知見が得られた。健常者でも大きなU波が見られることは少なくないが、その場合はT波を構成する独立成分の一部がU波を形成している。この結果はLQT7の診断に有用な情報を提供するものと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LQTSで頻度の高いLQT1~LQT3のデータを収集し、再分極過程(T波領域)に独立成分分析(ICA)、主成分分析(PCA)、およびmorphological combination score (MCS)解析を適用して、その結果から遺伝子型を判定する研究について、LQT2の症例数が十分集まらなかったため、LQT1とLQT3の解析にとどまり、LQT2との比較検討が十分できなかった。その理由の一つとして、他施設の協力を得るために、それぞれの施設で倫理委員会申請をしてもらう必要があったが、それに時間を要し、今年度に持ち越している施設もある。 既にさまざまな不整脈や心筋症症例のDNAが多数保管されているため、すべてを解析する時間的余裕がなかったことも一因であった。 また、研究者らが以前から行っている胎児期から乳児期の早期に発症するLQTSの全国レベルでの調査に関しては、個々の施設における症例数が非常に少ないため、解析可能な症例数に達するのに時間を要する内容である。また、前記と同様にそれぞれの施設で倫理委員会申請をしてもらうのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
LQTSで頻度の高いLQT1~LQT3のなかで、他の遺伝子型に比べて今まで集積されたデータが少ないLQT2の症例を重点的に収集する。特に家系メンバーの心電図スクリーニングを行って、症例数を増やせるよう努める。それらの心電図の再分極過程(T波領域)に独立成分分析(ICA)、主成分分析(PCA)、およびmorphological combination score (MCS)解析を適用して、その結果からLQT1、LQT2、LQT3を鑑別できるかどうかを検討する。 胎児期から乳児期の早期に発症するLQTSの全国調査に関しては、できるだけ多くの他施設への協力を呼びかけ、オプトアウト方式を含めて、各施設での倫理委員会申請をサポートする。本研究開始以前に登録された症例で、当時、遺伝子型が判明していなかった症例について、最近の技術の進歩によって確定できる可能性があるため、あらためて患者本人、家族の同意を得た上で遺伝子検査と心電図検査を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)過去にデータ収集したさまざまな不整脈や心筋症症例のDNAが多数保管されていたため、それらを先に解析する必要があった。そのため、今年度施行する予定であった次世代シークエンサによる遺伝子解析が次年度へ持ち越すことになった。 また、一部の遺伝子型の登録数が少なかったため、遺伝子型間での比較検討研究の進行が遅れた。研究者らが以前から行っている胎児期から乳児期の早期に発症するLQTSの全国集計に関しても、個々の施設からの登録症例数が非常に少なかった。また、他施設の協力を得るために、各施設で倫理委員会申請をしてもらう必要があり、それにも時間を要した。これらの症例の解析に関して、次年度へ持ち越すこととなった。 (使用計画)次世代シーケンサによる遺伝子解析、デジタル心電図解析ともに、症例数を増やして解析を進めるため、その消耗品購入に充てる。また、デジタル心電図解析に関しては、他大学の症例のデータも提供してもらうため、申請者および研究協力者がそれぞれの施設へ出張する必要があり、旅費にも使用する予定である。2年目となるため、学会等における成果発表のための費用としても使用する予定である。
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[Journal Article] Linking the heart and the brain: Neurodevelopmental disorders in patients with catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia2019
Author(s)
Lieve KVV, Verhagen JMA, Wei J, Bos JM, van der Werf C, Roses I Noguer F, Mancini GMS, Guo W, Wang R, van den Heuvel F, Frohn-Mulder IME, Shimizu W, Nogami A, Horigome H, Roberts JD, Leenhardt A, Crijns HJG, Blank AC, Aiba T, Wiesfeld ACP, Blom NA, Sumitomo N, Till J, Ackerman MJ, Chen SRW, van de Laar IMBH, Wilde AAM
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Journal Title
Heart Rhythm
Volume: 16(2)
Pages: 220-228
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Guidelines for Heart Disease Screening in Schools (JCS 2016/JSPCCS 2016)2018
Author(s)
Sumitomo N, Baba R, Doi S, Higaki T, Horigome H, Ichida F, Ishikawa H, Iwamoto M, Izumida N, Kasamaki Y, Kuga K, Mitani Y, Musha H, Nakanishi T, Yoshinaga M, Abe K, Ayusawa M, Kato Y, Tsutsui H, et al; Japanese Circulation Society and the Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery of Joint Working
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Journal Title
Circulation Journal
Volume: 82(9)
Pages: 2385-2444
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Electrocardiographic Screening of 1-Month-Old Infants to Prevent Sudden Infant Death2018
Author(s)
Yoshinaga M, Ushinohama H, Sato S, Horigome H, Hata T, Tauchi N, Nishihara E, Sumitomo N, Ozawa A, Ichida F, Shiraishi H, Nomura Y, Kucho Y, Takahashi H, Ohno S, Nagashima M
Organizer
Heart Rhythm Scientific Sessions 2018
Int'l Joint Research
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