2018 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサーを用いた若年性骨髄単球性白血病のメチル化解析法の開発
Project/Area Number |
18K07816
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村松 秀城 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00572570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 友介 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任講師 (00725533)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 小児血液学 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性骨髄単球性白血病(Juvenile myelomonocytic leukemia; JMML)は予後不良な小児骨髄増殖性疾患である。我々はInfinium Human Methylation 450k Bead Chip (450k)を用いたメチル化プロファイリングを行い、高メチル化群の予後が不良であることを明らかにした(Murakami N, et al. Blood 2018)。 イルミナ社の450kメチル化アレイは豊富な実績がある安定したDNAメチル化解析プラットフォームである。しかしながら、その解析コストは安価ではなく、実臨床の現場にメチル化プロファイリングに基づくリスク分類を実装していく上では、より低コストかつハイスループットな検査法の開発が求められる。本研究では、450kメチル化アレイ解析を実施済みの臨床検体を用いて、Digital restriction enzyme analysis of methylation (DREAM)法によるメチル化解析を実施した。DREAM法は、同じCCCGGG配列を認識するが、シトシンがメチル化していると切断しない制限酵素(SmaI)およびメチル化していても切断する制限酵素(XmaI)で順番にDNAを処理し、その後イルミナ社の次世代シーケンサー(HiSeq2500)でショートリードシーケンスを行う方法である。 同法を用いて、JMML患者101例のメチル化解析を行った。DREAM法と450kで共通して評価可能なメチル化部位は6,455サイトについて、methylation ratioとβ valueの相関を調べたところ、良好な相関が得られた(相関係数R2 = 0.95)。DREAM法で評価可能な374,921サイトのうち、95%以上の症例でread per million 4以上かつ転写開始部位から1,000塩基以内にあるメチル化サイト数は7,863サイトであった。これを用いて教師なしクラスタリングを施行したところ、2つのサブグループ(高メチル化群・低メチル化群)に分類することが可能であった。我々が以前に報告した450kによる分類と、今回のDREAM法による分類の一致率は、95.0%であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、DREAM法による全ゲノムメチル化解析の解析パイプラインを構築し、450kアレイによるJMMLのメチル化分類の結果を高度に再現できることを明らかにすることができた。費用は450kの約1/6と安価であり、特定の製品に依存しない優れた解析方法である。同法を用いてJMML患者を層別化することで、JMML患者の治療方針決定に対して有用な情報を得ることが可能である。また、後述の通り、国際共同研究についても計画以上のペースで進行しており、成果が期待できる状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年9月にローマで行われたEWOG-MDSシンポジウムで、申請者らを含む各国のメチル化アレイの結果に基づくリスク分類のデータが発表され、他国のグループ(ドイツ、サンフランシスコ)もJMML臨床検体を用いた450kメチル化アレイによる解析を進めていることが明らかとなった。アレイデータのデータ処理・クラスタリングの手法は単一ではなく、臨床研究グループごとにリスク分類の定義づけが異なると、お互いの臨床研究の成果を比較検討することが今後、大変困難となることが予想された。申請者は、メチル化解析に基づくリスク分類を実臨床で利用するにあたり、リスク分類のハーモナイゼーションが必要であることを提案し、ハイデルベルク大学のDaniel Lipka博士、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のElliot Stieglitz博士と同意が得られた。それぞれのデータの論文発表がなされ、3グループ合計で約300例のアレイデータを共有し、共同解析を行い、解析方法のハーモナイゼーションについてほぼ完了した。現在、国際共同研究として論文投稿準備中である。
|
Causes of Carryover |
臨床研究開始時期が次年度となったため、一部研究費(特に臨床試験に対する保険費用)を次年度に繰り越して使用する予定とした。
|
Research Products
(9 results)
-
-
-
[Journal Article] Integrated molecular profiling of juvenile myelomonocytic leukemia2018
Author(s)
Murakami Norihiro、Okuno Yusuke、Yoshida Kenichi、Shiraishi Yuichi、Nagae Genta、Suzuki Kyogo、Narita Atsushi、Sakaguchi Hirotoshi、Kawashima Nozomu、Wang Xinan、Xu Yinyan、Chiba Kenichi、Tanaka Hiroko、Hama Asahito、Sanada Masashi、Ito Masafumi、Kojima Seiji、Ogawa Seishi、Takahashi Yoshiyuki、Muramatsu Hideki、et al
-
Journal Title
Blood
Volume: 131
Pages: 1576~1586
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
[Presentation] Integrated molecular profiling of juvenile myelomonocytic leukemia.2018
Author(s)
Murakami N, Okuno Y, Yoshida K, Shiraishi Y, Nagae G, Suzuki K, Narita A, Sakaguchi H, Kawashima N, Wang X, Xu Y, Chiba K, Tanaka H, Hama A, Sanada M, Ito M, Hirayama M, Watanabe A, Ueno T, Kojima S, Aburatani H, Mano H, Miyano S, Ogawa S, Takahashi Y, Muramatsu H.
Organizer
第9回日本血液学会国際シンポジウム
Int'l Joint Research
-
[Presentation] DREAM法を用いた若年性骨髄単球性白血病に対するメチル化解析2018
Author(s)
北澤宏展, 村上典寛, 奥野友介, 村松秀城, 若松 学, 三輪田俊介, 成田幸太郎 ,片岡伸介, 濱田太立, 市川大輔, 谷口理恵子, 鈴木喬悟, 川島 希, 西川英里, 成田 敦, 西尾信博, 小島勢二, 高橋義
Organizer
第60回日本小児血液・がん学会学術集会