2019 Fiscal Year Research-status Report
脊髄におけるGABAの放出及びその抑制性応答と胎児期の運動機能発達との関連
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18K07823
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
清水 千草 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70435072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒田 晶子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00266082)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | GABA / グリシン / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
GABAは運動機能の発達に重要である。GABA合成酵素であるGAD、GABAをシナプス小胞に充填するVGAT、GABAの抑制性応答に必要なKCC2のいずれの欠損マウスも、運動失調を呈し、生直後に死亡する。しかし、胎児期の運動機能の発達におけるGABAの役割には不明な点が多い。そこで、運動情報の出力を担う脊髄前角に着目し、GABAの放出及びその抑制性応答の発達変化を明らかにし、胎児期の運動機能の発達との関連を解明することを本研究の目的とした。 今年度はGABAとともに、抑制性神経伝達物質として重要なグリシンにも着目した。GABAと同じく、グリシンの抑制性応答にはKCC2が必要である。グリシン作動性神経のマーカーであるグリシントランスポーター2の欠損マウスは、GABA関連分子の欠損マウスと異なり、生後2週で運動失調を起こし死亡する。それに対し、グリシンをアストロサイトに取り込み、除去するグリシントランスポーター1の欠損マウスは生直後に死亡する。これらのことから、胎児期におけるGABAとグリシンについての相違点についても検討を加えた。 胎児期において、GABA作動性神経は、グリシン作動性神経よりもかなり早くから形成され始めた。GABA作動性神経の形成とともに、放射状グリアによるGABAの除去システムは形成され始める。しかし、グリシン作動性神経の場合、それよりもかなり前に、放射状グリアによるグリシンの除去システムの構築が始まり、その時期はGABA作動性神経が形成し始める時期と類似することがわかった。このようなことから、脊髄前角におけるGABAの放出は、グリシンよりも早く開始されると考えられるが、グリシンは、形成され始めたGABA作動性神経周辺に存在し、放射状グリアまたはアストロサイトに除去されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者である清水は脊髄急性スライスからホールセルパッチクランプ法の実験を進めるとともに、GABAに加えてグリシンを含めた抑制性神経回路についても研究を進め、複数回の学会発表を行い、総説を発表した(Kobayashi S.*, Shimizu-Okabe C* et al. *equally contributed)。分担者である荒田は、脊髄摘出標本を用いた研究について学会発表などを行った。以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄急性スライスを用いたホールセルパッチクランプ法におけるGABA放出の変化について、さらに胎児期について、例数を増加させるようにしたいと考えている。グリシン神経回路についての検討も加えていく。また、脊髄摘出標本を用いた研究との連携をさらに深め、さらに本研究を推進させていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ肺炎のため、参加予定の学会が誌上開催となり、出張旅費が大幅に減少したため。
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Research Products
(16 results)