2022 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞特異的なロコモーション移動におけるSrcファミリーキナーゼの役割
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18K07827
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西村 嘉晃 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (50508603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川内 健史 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (60397544)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経細胞移動 / 形態変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質形成過程において、脳室帯を出た神経細胞はまず多極性細胞になり、その後極性を獲得して一本の先導突起を持つロコモーション細胞となって脳表層までの長い距離を移動し、整然とした層構造を形成する。この神経細胞移動のうち、最も長い距離を占めるロコモーション様式の移動は、正常に機能する脳を作る上で極めて重要な過程であるにも関わらず従来直接的な解析が難しかった。申請者は独自の観察-解析系を確立し、Srcファミリーキナーゼがこの移動に重要な役割を果たしていることを示してきた。Srcファミリーキナーゼは、がん遺伝子として単離され様々な細胞現象に関わることが知られているが、脳におけるその主要な基質はロコモーション移動に関与しないことから、このキナーゼがどのようにしてロコモーション様式の移動を制御しているかは不明であった。本研究では大脳皮質のスライス培養法や超解像顕微鏡レベルでの細胞内小器官の動態解析、生化学的手法などを用いて、Srcファミリーキナーゼがロコモーション様式の移動をどのように制御しているかを、その上流・下流の経路まで解析して、脳形成における役割を明らかにすることを目的としている。昨年度まで研究により、CskのRNAiベクターを導入した大脳皮質のスライスをタイムラプス観察し、個々の移動神経細胞の形態変化の様子を詳細に解析したところ、移動神経細胞の先導突起の根元に特徴的に観られるdilationという膨らみに異常はないことが分かった。今年度はCskのRNAiによるロコモーション細胞の移動速度についてサンプル数を増やして解析したところ、コントロールよりわずかに低下していることが分かった。また、核の形態変化にも異常を来すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナによる教育業務のスケジュール変更が行われたため、研究遂行がやや遅れている。 これまでに、Srcファミリーキナーゼの上流分子Cskの機能抑制によって移動神経細胞のどの段階が異常になるかの解析として、子宮内エレクトロポレーション法を用いてEGFP発現ベクターおよびCskのRNAiベクターを共導入した大脳皮質を振動刃ミクロトームでスライスし、これをタイムラプス観察し、個々の移動神経細胞の形態変化の様子を詳細に解析した。その結果、移動神経細胞の核の形態に異常が生じ、その移動速度がわずかに低下することが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、大脳皮質のスライス培養法や生化学的手法などを用いて神経発生におけるSrcファミリーキナーゼの活性の制御機構について調べてきた。今後は、これまでに得られた情報を元にして、Srcファミリーキナーゼが神経細胞の移動速度や核の形態を制御している機構を調べることにより研究をまとめていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる教育業務のスケジュール変更が行われたため、研究遂行が遅れた。次年度は今のところ研究室閉鎖の予定はないので、遅れた分の研究を行う。
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Research Products
(2 results)