2019 Fiscal Year Research-status Report
ウイルスを自己崩壊に導く新規抗RSウイルス薬の開発
Project/Area Number |
18K07834
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
原 好勇 久留米大学, 医学部, 准教授 (40309753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 孝仁 久留米大学, 医学部, 准教授 (70320158)
渡邊 浩 久留米大学, 医学部, 教授 (90295080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RSウイルス / パラミクソウイルス / ポリメラーゼ / 抗ウイルス薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
RSウイルスは乳幼児、高齢者、免疫低下者に重い下気道感染症を引き起こす場合がある。ところが迅速診断キットはあるものの、未だ有効なワクチンや治療薬が存在しない。これまでの研究で、ウイルス自身のPタンパク質由来ペプチド「P 断片」に非常に強い抗ウイルス作用があることを見出した。Pタンパク質は通常ウイルス複製酵素Lをウイルス遺伝子まで運ぶ働きをしているが、これまでの研究でP断片は正常型Pを標的とし複製酵素Lを強力に阻害することを明らかにした。そこで本研究では、「P断片」をもとにした抗RSウイルス・ペプチド薬の開発を目的とした。 昨年度はP断片の大量精製法の確立を目指した。P断片のC末端側にタンデムアフィニティータグ(TAPタグ)を付加し、これを発現する組換えバキュロウイルスを作製した。P断片をSF21昆虫細胞で発現させ、IgGセファロースを用いて精製することで、高純度(95%以上)のP断片を大量に精製することができた(細胞培養1Lあたり約1 mg)。そこで、今年度は精製したP断片を使って実際にRSウイルス感染を抑えることができるか培養細胞レベルで検討した。抗ウイルス薬の実際の臨床での使用場面を想定し、ウイルス感染後のウイルスの増殖期(感染24時間後)にP断片を投与した。細胞はHEp-2細胞(ヒト喉頭癌由来)、ウイルスはRSV の遺伝子型A2を使用した。P断片を感染細胞へ直接添加した場合、ウイルス増殖に対する阻害効果はみられなかった。ところが、ペプチド導入試薬を用いた場合、P断片0.23 μMではウイルス産生量が約20%まで、0.47μMでは約2%程度まで抑制された。P断片は単独では細胞内に取り込まれにくいため、ペプチド導入試薬のようなデリバリー剤を使用すれば阻害効果を発揮することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
立案した計画に沿って精製した「P 断片」の抗ウイルス効果を評価することができた。また、成果を国際誌、および国際・国内学会にて報告することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
現状のP断片はC末端にタグの切れ残りが残存し、本来の抗ウイルス活性を弱めている可能性があるため、タグが全く残存しない改良型をつくる。さらにRSウイルスだけでなく他のパラミクソウイルスに対する抗ウイルス効果について調べる。
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Causes of Carryover |
理由:動物実験の関連経費を計上していたが、現段階ではまだ動物への感染実験を行うことができなかったため未使用額が生じた。
使用計画:動物実験が可能になった段階で、その関連経費に充てる計画である。
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Research Products
(6 results)