2019 Fiscal Year Research-status Report
Role of Osteocytes in Phosphate Sensing and Its Relation to Skeletal Maturation
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18K07838
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
道上 敏美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 骨発育疾患研究部門(旧 環境影響部門), 部長 (00301804)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リン代謝 / 骨細胞 / 骨芽細胞分化 / 骨成熟 |
Outline of Annual Research Achievements |
成長に伴い血清リンの正常値は低下するが、そのメカニズムは明らかではない。我々は、成長に伴う骨の成熟の過程で、リン感知の閾値がシフトすることにより血清リン値の低下をもたらすとの仮説をたて、実験的な検証を試みている。まず、血清リン値が10 mg/dL前後の野生型幼若マウス(4週齢)マウスと血清リン値が6 mg/dL前後の野生型成獣マウス(12週齢)から、研究者らが確立した方法により骨芽細胞、骨細胞を分化段階に応じて単離し、リン代謝や骨芽細胞分化に関わる遺伝子群の発現を比較した。予測通り4週齢マウスは12週齢マウスよりも血清リン値が有意に高値であったが、ELISAにて測定した血清FGF23値には明確な差がなかった。検討した遺伝子のうち、Kera、Dmp1、Phex、Sost、Slc20a1、Slc20a2、Alpl、Ankなど、Fgf23を除くほとんどの遺伝子が、4週齢野生型マウス由来骨芽細胞/骨細胞で12週齢野生型マウス由来骨芽細胞/骨細胞よりも高く発現していた。骨芽細胞に高く発現している遺伝子、骨細胞に高く発現している遺伝子の双方が4週齢マウスの細胞でより高く発現していたことから、「成長に伴う骨成熟」と「骨芽細胞から骨細胞への分化」がこれらの遺伝子の発現に及ぼす影響が異なることが明確となった。興味深いことに、4週齢野生型マウスの骨芽細胞・骨細胞で発現が上昇していた遺伝子は、遺伝性低リン血症性くる病のモデルマウスであるHypマウスの骨芽細胞・骨細胞で発現が上昇していた遺伝子と共通していた。腎臓における遺伝子発現についても、4週齢野生型マウスと12週齢野生型マウスで比較し、Slc34a3などの遺伝子発現に差を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清リン値が10 mg/dL前後の野生型幼若マウス(4週齢)マウスと血清リン値が6 mg/dL前後の野生型成獣マウス(12週齢)から、骨芽細胞・骨細胞を分化段階に応じて単離し、リン代謝や骨芽細胞分化に関わる遺伝子群の発現をreal-time PCRにより詳細に比較検討し、Fgf23を除くほとんどの遺伝子が、4週齢マウス由来骨芽細胞/骨細胞でより高く発現していた。一部の分子については免疫染色でも同様の結果を得た。このことから、「成長に伴う骨成熟」と「骨芽細胞から骨細胞への分化」が遺伝子発現に及ぼす影響が異なることが明確となり、成長過程では骨成熟に伴ってリン代謝制御やリン感知に関わる分子の発現が変化していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
血清リン値が10 mg/dL前後の野生型幼若マウス(4週齢)マウスと血清リン値が6 mg/dL前後の野生型成獣マウス(12週齢)から単離した骨芽細胞、骨細胞に種々の濃度の細胞外無機リン酸を作用させ、反応性の違いを検討する。また、リン代謝と密接な関係が示唆されるFGFRシグナルの関与についても、basic FGFを作用させてその反応性を解析する。マウスで得られた知見がヒトにもあてはまるかどうか、iPS細胞の骨芽細胞分化誘導系を用いて検証する。
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Causes of Carryover |
旅費を公費から支出することができ、また、試薬を予測よりも安価に購入できたため、余剰金が生じた。 次年度に物品費として使用予定である。
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