2020 Fiscal Year Annual Research Report
Resarch on novel therapeutic molecular target for Duchenne muscular dystrophy that inhibits titin-degrading enzymes
Project/Area Number |
18K07845
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
粟野 宏之 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (30437470)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Duchenne型筋ジストロフィー / 筋崩壊 / カルパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)はジストロフィン遺伝子変異によるジストロフィン欠損により生じる致死性の進行性の筋萎縮症である。DMD患者のジストロフィン欠損筋では、筋崩壊が惹起されることが知られているが、その病態については明らかでない。ジストロフィン欠損筋では、筋細胞膜におけるCa2+流入増加によりCa2+要求性のプロテアーゼが活性化されると考えられている。Ca2+により活性化されるプロテアーゼにはカルパインが知られている。そこで、DMD患者の骨格筋におけるカルパインの発現を調べた。DMD患者の骨格筋からmRNAを抽出し、リアルタイムPCR法でカルパイン1、カルパイン2,およびカルパインの内在性阻害タンパクであるカルパスタチンの発現を健常人と比較したところ、それぞれDMD患者の29%、12%、6%で発現が上昇していた。カルパイン1またはカルパイン2をカルパスタチンで除した比を健常人と比較すると、DMD患者の88%、59%で比の上昇を認めた。次に、DMD患者由来筋芽細胞で骨格筋と同様の検討をおこなうと、カルパイン1/カルパスタチン比、カルパイン2/カルパスタチン比はすべての筋芽細胞で健常人より上昇していた。さらにDMD患者由来の筋細胞を用いてWestern blot法でタンパク発現を調べた。カルパスタチン1/カルパスタチン比と、カルパイン2/カルパスタチン比の検討では、健常人に比べ、すべての患者由来筋細胞において発現が上昇していた。これらの結果から、DMD患者の骨格筋では、筋崩壊を惹起するカルパイン1およびカルパイン2の発現が、阻害タンパクであるカルパスタチンに比して増加していることが明らかになった。
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