2019 Fiscal Year Research-status Report
新生児マス・スクリーニングを越える新生児超高速ゲノムスクリーニング法の開発
Project/Area Number |
18K07863
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
要 匡 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, ゲノム医療研究部, 部長 (40264288)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新生児ゲノムスクリーニング / 次世代シーケンサ / 解析迅速化 / FPGA |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、タンデムマスを中心とした新生児マス・スクリーニングで診断不可能な先天代謝異常症やQT延長症候群など、現時点で出生直後には診断困難であるが、新生児期での発見が重要と思われる遺伝子関連疾患等を対象に、ゲノム解析により出生直後より短時間でスクリーニング的に診断できるシステムを本邦に相応しい形で構築し、そのプロトタイプを実現することを目的としている。 研究期間で、1)遺伝子解析パネルの構築と比較、2)超高速データ解析機器のマッピング精度およびバリアント検出精度の検討、3)超高速データ解析機器処理後のデータ解析パイプラインの構築、4)検体からの迅速DNA抽出法の検討、5)新生児ゲノムスクリーニング用パネルの作製、6)新生児ゲノムスクリーニング系の構築と実践、の6項目を実施し、超高速ゲノムスクリーニング法を確立することを目標としており、令和元年度は、2)の検討および5)作製のための先天代謝異常症パネルによる解析を行ってみた。 FPGAを使用した超高速データ解析機器によるデータ解析においては、従来でのマッピング、バリアントコールとで、SNVが98%以上一致することに加え、比較的大きな(約100bp)のindel検出、CNV検出も可能であった。一致しないバリアントは、カバー率の低い部分が約半数を占めた。マッピング速度では、全ゲノムデータ(約100Gb)が1時間以内(約45分)と圧倒的な早さであり、先天代謝異常パネルにおいては、数秒で終了した。309遺伝子を搭載した、先天代謝異常症原因遺伝子解析パネルを用いて先天代謝異常症疑いにおいて解析を行った。結果、GBE1遺伝子、SCL25A20遺伝子などの病的バリアントを効率よく検出できた。また、中規模欠失などの検出も可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、研究計画の1)遺伝子解析パネルの構築と比較、2)超高速データ解析機器のマッピング精度およびバリアント検出精度の検討、3)超高速データ解析機器処理後のデータ解析パイプラインの構築、4)検体からの迅速DNA抽出法の検討、5)新生児ゲノムスクリーニング用パネルの作製、6)新生児ゲノムスクリーニング系の構築と実践、の6項目のうち、2)の詳細な検討および5)を含む実際の解析を行い、改良点等を検討することを予定した。 2)ついて、マッピング精度に関して、現在一般的に使用されているパイプラインとの比較により、不一致部分はシーケンス精度の低い部分が多くを占めており、精度はほぼ一致し、全く問題ないことが判明した。また、計算速度は圧倒的で、本研究でのパネル解析のみならず、データ量の多い全ゲノムデータ等でより利点を活用できると考えられた。実際の解析を実践し、原因遺伝子病的バリアントの迅速検出を可能とした。 以上より、当初の計画に基づく結果が得られており、概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実際の解析、ならびに対象遺伝子の絞り込みを進めつつ、最適なパネルについて検討を加える。トータルの解析時間等の検討を行い、より実践的な解析系を作り上げる。 以上、最終的に効果的な新生児超高速ゲノムスクリーニングのプロトタイプを構築する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の前提となるFPGAを使用した超高速データ解析機器は新しい機器であり、ドライ解析、従来のマッピングとの比較をまず行い、一定の傾向、結論をまず得ることを目的に、バリアントコール、ドライ解析の比率が多くなった。パネル解析の実践、キャピラリーシーケンスによる検証など、系の構築に向け、次年度に集中的に行うこととし、差額が生じた。全体的な研究遂行については問題なく、次年度はウェット部分等の比重が大きくなる予定である。
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Research Products
(14 results)