2018 Fiscal Year Research-status Report
ジペプチジルペプチダーゼ4活性からみた小児糖尿病の病態および治療に関する研究
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18K07870
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鴨田 知博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50224704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 誠 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80535021)
岩淵 敦 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30649835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 1型糖尿病 / ジペプチジルペプチダーゼ4 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児1型糖尿病患児において末梢血ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)濃度が膵ベータ細胞の障害程度を反映しているかどうかを確かめるために小児1型糖尿病患児(n = 22)の血清を用いて血中DPP4,C-ペプチド、グリコアルブミン、抗GAD抗体、HbA1cを測定した。 対象の年齢は9.8±2.3歳、男児6名、女児16名。Body mass index(BMI)は18.3±2.7。血中DPP4濃度は、ELISA(Human DPP4/CD26 Assay Kit-IBL)で酵素蛋白量を測定した。DPP4濃度は767.0±121.6ng/ml、血中C-ペプチド 0.32±0.34ng/ml、グリコアルブミン 22.7±2.7%、抗GAD抗体価 182.2±477.7 U/ml(陰性4例)、HbA1c 7.6±0.7%。同じ測定法によるDPP4の健康成人での正常値が200-600ng/mlと報告されており、同年齢での比較ではないが、小児1型糖尿病児のDPP4は高値である可能性があると思われた。また、DPP4はHbA1cとの間に統計学的有意差はないものの負の相関関係が認められた。血中C-ペプチド陰性群(C-ペプチド 0.1 ng/ml未満、n = 15)では、C-ペプチド分泌能維持群(n = 7)に比べてDPP4が高い傾向が認められ、より高いDPP4によってインスリン分泌を刺激するインクレチン(GLP1,GIP)活性が抑制されている可能性が示唆された。DPP4と年齢、BMI、グリコアルブミン、抗GAD抗体価との間には有意な関連は認められなかった。今後さらに症例数を増やして小児1型糖尿病におけるDPP4の動態を検討する必要があると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
対象となる小児1型糖尿病患者が予定数に達するのが遅れており、血液中のジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4),Cペプチド、インスリン抵抗性に関する各種アディポサイトカイン、膵自己抗体価などELISAで測定する項目は、一度に多数の検体を用いて測定する方が効率的かつ同一測定条件を担保できることから測定が遅れている。十分な検体数が確保できた時点で測定を行う予定にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
1型糖尿病の罹病期間により、膵ベータ細胞の障害度が異なることが推測され、罹病期間別に血中DPP4を検討する。罹病期間の短い例ではインスリン分泌能が保たれていることがあり、さらに緩徐進行性1型糖尿病では、長期間にわたりインスリン分泌能が保たれていることから罹病期間別にDPP4を検討する意義がある。平成30年度はDPP4の蛋白濃度を測定するにとどまったが、酵素活性を測定するELISA kitも発売されており、次年度は蛋白濃度と酵素活性を同時に測定する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた対象検体数が集まらず、ELISA測定キットに有効期限があるため、測定すべき対象検体数がそろった時点で測定キットを購入する予定である。
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