2020 Fiscal Year Research-status Report
塩基変異の引き起こすエクソンスキップを分子機構の解明と治療法の開発
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18K07873
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
成戸 卓也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト研究員 (60438124)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スプライス変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソンスキップなどの現象は遺伝子の変異により引き起こされ、疾患に関わっている。変異は主にイントロン内のSNPによって引き起こされるが、メカニズムは既存のスプライシング予測プログラム等では解決不能であるものの解析を進めている。これは、保存されている配列から予測されたシスエレメントが実際に選択性の制御に関わっているか否かの解析にはシミュレーションでは未解決であり、スプライシングに関わる部位のコンセンサス配列は高等生物ではかなり緩いものであるため、未だに何らかの実験的な解析手段が不可欠である。また機構を解明することは治療法の開発につながる。 細胞株を複数に増やしCRISPR-Cas9を用いて変異株の作製を試みた。導入後に変異株が存在することは確認できたが、クローン化する過程で野生株のみ単離でき、変異株の樹立に至らなかった。このためin vitro系に切り替えてプラスミドの作成をすすめ、正常および変異の配列に特異的に結合するスプライシングタンパクを単離するための条件検討を行なった。各種蛍光RNAプローブと細胞核タンパクを結合させてスプライシング・アッセイ系の検討を行っていく。 イントロン変異で同様の現象が起こってか症例の蓄積を試みた。KMT2DとKDM6A変異にはイントロン内の変異で臨床症状が確定した。10件のイントロン変異のうち分子学的機序の不明なままのもまだ存在していた。またエクソン1近傍の変異ではRNAの発現が検出されなく、技術的問題か転写の異常かを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
細胞株にCRISPR-Cas9システムにて変異を組み込むIn vitro系の確認が困難を極めている。そのため細胞株の変更等を行ったが、十分な変異株を取得できなかった。再度In vitro系の組み込み領域のシークエンスを確認の上、ルシフェラーゼレポーターアッセイで、目的の変異のもとに発現するルシフェラーゼ酵素からの発光量を測定することにより、プロモーター活性も含めて解析を行っていく。今後、RNA 結合タンパク質の側からの探索とは反対側の塩基配列側からのアプローチも行う。これらのスプライシング促進配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドによって、エクソンスキッピングを解除し得ることを明らかにし、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる治療の適応を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
正常および変異の配列に特異的に結合するスプライシングタンパクを単離するために、ベクターを作成し、E. Coli由来ビオチン・リガーゼ(BirA)の近接依存性ビオチン標識を介して一時的で弱い相互作用をするタンパク質相互作用 (PPI)の同定を行う。これはビオチンとストレプトアビジンの高親和性により、抗体利用に内在する非特異的結合を回避し精製時のコンタミネーションを排除する。イントロンへ荷を組み込んだ細胞株の作成が遅滞しているため、このため次のステップに進めていないため、対応する試薬の購入がないため余剰が生じている。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」にも記したように、CRISPR-Cas9でイントロン変異を組み込んだ細胞株の樹立が行えなかった。このため次のステップに進めていないため、対応する試薬などの購入が少なめになった。今年度はin vitroの系を進めたており、エクソン1近傍の変異では強いプロモーター活性は認められていない。来年度はプラスミドの構築を行い、タンパク質の同定を試みる。細胞株の作製は断念し、ルシフェラーゼアッセイの試薬の購入を増やす予定である。
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[Journal Article] Update of the genotype and phenotype of KMT2D and KDM6A by genetic screening of 100 patients with clinically suspected Kabuki syndrome2020
Author(s)
Murakami H, Tsurusaki Y, Enomoto K, Kuroda Y, Yokoi T, Furuya N, Yoshihashi H, Minatogawa M, Abe-Hatano C, Ohashi I, Nishimura N, Kumaki T, Enomoto Y, Naruto T, Iwasaki F, Harada N, Ishikawa A, Kawame H, Sameshima K, Yamaguchi Y, Kobayashi M, Tominaga M, Kuroki Y, Kurosawa K. et al.
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Journal Title
American Journal of Medical Genetics Part A
Volume: 182
Pages: 2333~2344
DOI