2018 Fiscal Year Research-status Report
カルシウムイオン関連遺伝子変異によるLQTSの病態と臨床像の解明および治療法確立
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18K07875
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大野 聖子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20610025)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CACNA1c / Calmodulin / RYR2 / LQTS / LQT8 / LQT15 |
Outline of Annual Research Achievements |
Caイオン関連の遺伝性不整脈患者の病態を明らかにするため、先天性QT延長症候群(LQTS)患者およびカテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)患者の収集と遺伝子解析を実施した。2018年度は98家系のLQTS患者と13人のCPVT患者のスクリーニングを次世代シークエンサーを用いたターゲットシークエンス法で実施した。その結果、CACNA1C変異をLQTS患者2名に同定した。またCPVT患者については、4家系にRYR2変異を同定し、CALM1変異を1人に同定した。このCALM1変異は既報の変異であり、両親には変異のない新規突然変異であった。さらに、すでにLQTS疑いでスクリーニングが実施されていたものの、変異が同定されていなかった重症不整脈患者に対してカルモジュリン遺伝子(CALM1-3)の変異を検索したところ、新規に2名のカルモジュリン変異キャリアを同定した。 LQTSにおけるCaイオン関連変異キャリアの頻度を調べるため、次世代シークエンサーでの解析開始後の連続する160人のLQTS患者を調べたところ、110人に原因となる遺伝子変異を同定した。そのうちCACNA1C変異を原因とするLQT8は6人であり、心臓ナトリウムチャネルをコードするSCN5A変異を原因とするLQT3の5人よりも多かった。また若年発症者のLQTS症例2名にCALM2の変異を同定した。本解析については2019年3月の日本循環器病学会のシンポジウムで発表し、論文投稿中である。 変異チャネルの機能解析については、Timothy症候群で同定されたCACNA1C-R412Mのメキシレチンによる機能変化を調べたが、有意差は認めなかった(論文投稿中)。また、新規に同定したCACNA1C変異について、機能解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
致死性不整脈であるLQTS及びCPVT症例を継続して登録・遺伝子解析を実施できている。機能解析については、解析対象となる遺伝子変異を検討中であり、本年度中に開始できるよう準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究については主に次の2点に要約できる。1.遺伝性不整脈患者の臨床情報・ゲノムを収集してNGSを用いた遺伝子解析を実施し、Caイオン関連の遺伝性不整脈患者を同定する。2.同定された遺伝子変異について機能解析を行い、薬剤の反応性などを確認する。 まず1については今年度も引き続き全国の臨床医からの遺伝性不整脈患者の登録をお願いし、解析を実施する。さらにCaイオン関連変異保持者についてはデータベースを充実させ、症状出現時の特徴や治療薬の効果等についてまとめるとともに、定期的な予後調査を実施する。2については、すでに作成しているCACNA1C変異プラスミドについては培養細胞を用いて引き続き機能解析を行う。LQT8の原因となるCACNA1C変異は機能獲得型変異であり、各種カルシウムチャネル拮抗剤やLQTSの特効薬であるβブロッカーによる効果を確かめる。CALM変異については培養細胞系での解析が困難であるため、新規変異が同定された場合には、共同研究を行っている京都大学循環器内科でiPS細胞を樹立し、心筋細胞に分化後(iPS-CM)解析を行う予定である。RYR2変異については、培養細胞への一過性発現では解析結果が安定しないため、安定発現系(Stable cell line)を作成して解析予定であり、共同研究を行っている順天堂大学医学部薬理学教室と協力して実施する予定である。 これらの研究を統合することで、まだ報告の少ないCaイオン関連遺伝子変異によって発症するLQTS及びCPVTについての変異および機能異常を含めたデータベースを構築する。
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Causes of Carryover |
大阪府北部地震のため、遺伝子解析及び機能解析を実施するシステムに支障が生じたため、次年度使用額へ繰り越した。
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Research Products
(39 results)
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[Journal Article] Mutant KCNJ3 and KCNJ5 Potassium Channels as Novel Molecular Targets in Bradyarrhythmias and Atrial Fibrillation2019
Author(s)
Yamada N, Asano Y, Fujita M, Yamazaki S, Inanobe A, Matsuura N, Kobayashi H, Ohno S, Ebana Y, Zankov DP, Shimizu A, Naiki N, Hayashi K, Makiyama T, Ogita H, Miura K, Ueshima H, Komuro I, Yamagishi M, Horie M, Kawakami K, Furukawa T, Koizumi A, Kurachi Y, Sakata Y, Minamino T, Kitakaze M, Takashima S, et al.
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Journal Title
Circulation
Volume: 139
Pages: 2157~2169
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Clinical Manifestations and Long-Term Mortality in <i>Lamin A/C</i> Mutation Carriers From a Japanese Multicenter Registry2018
Author(s)
Nakajima K, Aiba T, Makiyama T, Nishiuchi S, Ohno S, Kato K, Yamamoto Y, Doi T, Shizuta S, Onoue K, Yagihara N, Ishikawa T, Watanabe I, Kawakami H, Oginosawa Y, Murakoshi N, Nogami A, Aonuma K, Saito Y, Kimura T, Yasuda S, Makita N, Shimizu W, Horie M, Kusano K
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Journal Title
Circulation Journal
Volume: 82
Pages: 2707~2714
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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