2020 Fiscal Year Research-status Report
軟骨無形成症の患者集団と疾患特異的iPS細胞による肥満とインスリン抵抗性の検討
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18K07877
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北岡 太一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20599229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 武司 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (50774402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軟骨無形成症 / インスリン抵抗性 / 肥満 / 疾患特異的iPS / 脂肪細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨無形成症 (achondroplasia: ACH) は四肢短縮と著明な低身長を呈しており生活の上で問題となる疾患関連合併症が多い。肥満はその一つであるとともに他の合併症の増悪因子でもあるため、ACH小児において適正な体重の維持は成人期のメタボリックシンドロームのリスクを減らしQOL改善につながると考える。本研究ではACHにおける肥満とインスリン抵抗性の問題点を明らかにするために、患者コホートおよび疾患特異的iPS細胞による検討を行う。 患者コホートの検討では、DEXA (dual energy X-ray absorptiometry) 法による体脂肪率をもとに肥満症例と非肥満症例を選別し、両群での身体計測パラメータ及び糖脂質代謝関連検査値に関して検討を進めた。肥満の基準を満たしたACH症例は32名中10名でメタボリックシンドロームの診断基準を満たす症例はいなかった。体脂肪率は殿囲/身長比と有意な相関を認め、ROC解析におけるcut-off値は0.68で感度80%、特異度88%であった。糖脂質代謝関連の検討では空腹時インスリン、HOMA-IRが肥満群で有意に高値であったが、体脂肪率とインスリン、HOMA-IRに有意な相関は認めなかった。 疾患特異的iPS細胞による検討については、iPS細胞より間葉系幹細胞を経て脂肪細胞へ分化させ検討をすすめている。ACH症例3名と健常対照1名のiPS細胞より中胚葉系および神経堤細胞系の2種類の方法で間葉系幹細胞を作成した。さらに作成した間葉系幹細胞を経て脂肪細胞へ分化させ、その過程におけるFGFR3などの遺伝子発現の検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行拡大の影響で大阪大学の活動基準レベルが2020年4月8日から6月2日までレベル3.0もしくは3.5であり継続中の実験の中断処理以外の通常の研究活動ができない状況であったため、細胞培養含めて研究中断を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
ACH小児の肥満を正しく評価するために、ACHの軽症型とされる軟骨低形成症(HCH)症例について身体計測パラメータ及び糖脂質代謝マーカーを検討し、肥満とメタボリック症候群に関してFGFR3異常による相違についても調査を進める。 またFGFR3異常の影響を検証するためにiPS細胞より間葉系幹細胞を経由して分化させた脂肪細胞を用いた研究を継続する。アディポサイトカインおよび関連物質、インスリン感受性に影響する因子等についてFGFR3異常との関連の検討を引き続き進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行拡大の影響で通常の研究活動ができない状況が生じたため、細胞培養含めて分子生物学的実験に関しては研究中断を余儀なくされた。次年度は間葉系幹細胞からの脂肪細胞分化実験を継続し、分化過程におけるアディポサイトカインおよび関連物質の測定を進め、当該年度に予定していた分子生物学的実験を段階的にす進めていくこととしている。そのため次年度分としての助成金の使用が必要となる。
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