2020 Fiscal Year Research-status Report
高血糖曝露により生じる胎児の左右軸形態異常に関する分子機構の解明
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18K07880
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北島 桂子 九州大学, 医学研究院, 助教 (00332784)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高血糖 / 左右軸形成 / 糖尿病母体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wnt3aのシス解析で特定した2カ所の原条エンハンサー(PSE1およびPSE2)の評価を行うため、まずはCRISPR-Cas9で変異を導入したWnt3aΔPSE1マウスを作出したが、8.5日胚の原条におけるWnt3aの発現は野生型胚と比較して変化がなく、またホモ個体は生存が可能であった。そこでWnt3aΔPSE1のホモ個体を、CRISPR-Cas9を用いて新たに作出したWnt3a+/-マウスと交配して得られた8日胚ではWnt3aΔPSE1/-の原条におけるWnt3aの発現が野生型に対して低下していることが明らかとなった。 一方、糖尿病母体マウスから得られた胚では体内臓器の右側相同が発生することを既に報告しているが、与える飼料のロットにより左側相同が出現することが明らかとなった。またWnt3a KOマウスでは左右軸形成に異常が生じることが知られているが、心臓形態異常の出現頻度が給餌ロットにより変動することもわかったため、これらの現象に共通する要因について現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Wnt3aΔPSE1/-の8日胚の原条におけるWnt3aの発現は野生型より減弱していたものの、出生仔の尾長に影響はなかった。そこで更にWnt3a PSE2に変異を導入してWnt3aΔPSE2/-、およびWnt3aΔPSE1,PSE2/-マウスを作出して原条エンハンサーの活性を詳細に評価する必要があり、実験の進行が予定より遅れている。 また糖尿病母体やWnt3a KOに与える餌のロット毎に栄養成分が異なり、安定した実験結果が得られない。そこで全胚培養や、精製飼料の導入を含めて条件の再検討を余儀なくされている。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Cas9システムを用いてWnt3aΔPSE1 マウスにPSE2の変異を導入した後、Wnt3aΔ KOマウスと交配し、Wnt3aのPSE1、PSE2それぞれのエンハンサー活性を評価する。糖尿病マウスおよびWnt3a KOマウスに精製飼料を与え、栄養成分の違いによる胚の左右軸形成への影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当研究室で既に所有している機器や、大学の研究支援センターが所有する機器で解析することが可能であったため、新たな機材を購入せずに実験を遂行した。また予算の多くを占める予定の実験動物購入費に関しても、当研究室で作出し繁殖維持している遺伝子改変マウスを用いた解析が多かったため、予算を次年度に持ち越すことになった。
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