2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular analysis of brain-type dystrophin to understand dystrophinopahy-related neurological disorder
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18K07883
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
藤本 崇宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10446114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀和 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70273638)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジストロフィン / Dp71 / 会合蛋白 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に作出したジストロフィンショートアイソフォームを特異的に検出可能な遺伝子改変マウスに関して、F0マウス2ラインの生殖細胞系列への伝達とコロニーの拡大を試みた。その結果、1ラインでの樹立に成功し、オス・メスともにホモ接合体を得るに至った。この遺伝子改変マウスを用いて、Dp71のタンパク質レベルでの発現をウェスタンブロットおよび組織免疫染色法で脳のみならず末梢組織においても検討を開始した。これまでは凍結切片での免疫染色による検出が可能であったが、複数のタグ抗体の特異性・反応性・反応条件を検討することでパラフィン切片での免疫染色が可能となり、細胞・組織形態をとらえたかたちでDp71の特異的なシグナルを検出するに至っている。引き続き最終年度においても胎児期から成獣にかけて脳内におけるDp71の発現分布を詳細に解析する。 昨年度にプロファイリングしたBioIDによるDp71会合タンパク候補に関しては、遺伝子改変マウスを用いた検証実験においてネガティブな結論に至り、安定発現状態の株化細胞を用いた実験だったとはいえPC12細胞でのBioID法には生理的な条件とは隔たりがあり限界があったと思われる。そこで、問題を解決すべく、新たに作製した遺伝子改変マウスを使用した海馬神経細胞初代培養系において、タグ抗体を用いたDp71分子複合体の同定を試み、既知の会合タンパクを含む候補タンパクリストを作成するに至った。いっぽう、ジストロフィンと相互作用することが知られる既知蛋白に着目した研究において、思いがけない現象が観察された。これに関しては論文投稿準備中である。 マウスけいれんモデルの作製に関しては、遺伝子改変マウスにペンチレンテトラゾールを投与することで誘発されるキンドリングモデルに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々が着目するジストロフィンショートアイソフォームDp71を特異的に検出可能な遺伝子改変マウスが樹立され、それを用いた検討により、生化学的ならびに組織形態学的に検出する手法が確立された。課題の中心は、てんかん病態におけるDp71の動態を解析することであるが、それにはまずマウス脳組織におけるDp71の生理的発現分布を同マウスにおいて明らかにする必要がある。世界的に見て全長型ジストロフィンなど他のアイソフォームと区別するかたちで特異的にDp71の蛋白レベルでの発現分布の詳細を明らかにした仕事は無い。必要に応じて計画を微修正しつつ入手すべき情報を得た。今年度の我々の解析によって今後検討すべき焦点が絞り込めた。 Dp71会合蛋白に関してはBioIDで得られた候補が、より生理的な系での検証実験の結果、偽者である可能性が高まった。真の会合蛋白の同定にはさらなる検討が必要であるが、新たに作製した遺伝子改変マウスを用いることでブレークスルーを図りたい。BioIDでの経験を活かし効率よくスクリーニングする用意がある。 いっぽう、ジストロフィンと相互作用することが知られる既知蛋白に着目した研究において、思いがけない現象が観察された。これに関しては論文投稿準備中であり本研究課題を進める過程で観察された副産物と位置づけられるが、本筋の内容にも充分フィードバック可能な知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
Dp71分子ネットワークを構築すべく、まずは遺伝子改変マウス由来の海馬神経細胞初代培養における会合実験の結果に関して検証を進める。目ぼしい候補が含まれなかった場合には、海馬組織を材料に用いた会合実験を代替法に据える。 今年度上半期で胎児期ならびに成獣マウス脳内のDp71発現プロファイルをまとめたうえ、有力な会合蛋白候補を対象にした発現プロファイルとの比較検討を加える。 遺伝子改変マウスをキンドリングモデルに供すが、用量は決定済みであるものの着目すべきタイムポイントが未だ定まっていない。この点に関しては上半期の早い段階で決定し、目標の達成に繋げる。
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Causes of Carryover |
次年度使用分は前年度に請求した前倒しに由来するものである。この前倒し請求は研究の進展によって新たに発生した必要物品の購入と、次年度の入金されない時期(4月から5月初旬)の研究の停滞を防ぐ目的のために行なわれたものである。よって次年度使用分が生じたことは計画的なものであり、研究の遂行には問題は生じない。
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