2019 Fiscal Year Research-status Report
Integrated database construction of Fabry disease using artificial intelligence / next generation sequencer
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18K07888
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 博司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90266619)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ファブリー病 / 遺伝子治療 / AI / データベース / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子治療を施行した遺伝子挿入変異による変化はウイルスベクターを用いる場合、注意が必要である。特に造血幹細胞を標的とした遺伝子治療の場合、原因遺伝子にベクターゲノムが挿入され、持続的に遺伝子発現することによる酵素補充効果が期待されているが、このことによる二次的な遺伝子変化の詳細はわかっていない。今回ファブリー病患者から採血し次世代シークエンサーにて原因遺伝子およびそれ以外の遺伝子異常を網羅的に確認し、更に各患者の採血時点での臨床データ(血液生化学検査、画像検査など)を含めてこれらを人工知能(AI)に深層学習させ、データマイニングによる新しい解析を考慮。近い将来に遺伝子治療を施行した場合の遺伝子変異の変化を同じ集団で調査し、ウイルスベクターの影響を調査する基礎資料とする。酵素補充群も同様に前後で調査し、遺伝子環境・臨床環境の変化の違いも総合分析し、新しい診療支援システムの構築を目指す。 ファブリー病はライソゾーム酵素 GLAの遺伝子変異による機能不全により全身の血管内皮、腎糸球体足細胞などに基質である糖脂質Gb3が蓄積することにより、四肢疼痛、低汗症、被角血管腫、角膜混濁、腎障害、心障害、脳血管障害など多彩な症候を呈する。これらは十分な酵素補充を施行してもその多彩な臨床病像が改善しない場合が多い。その原因として若年期からの長期投与が出来ていなかった点以外の要素、たとえばGLA遺伝子変異による二次的な変化がゲノムレベルで起こっていることも報告されている。また、遺伝子治療などの介入により患者の遺伝子環境の変化でどのような二次的な変化が起こるかもゲノムレベルから臨床レベルに至るまで検討する必要があり、その基礎的なデータベース構築にも貢献すると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回ファブリー病男性患者に絞り、23名の採血を完了している。正常対象として男性5名の採血も完了し、適宜RNA抽出している。6名分はすでに次世代シークエンサー(CAGE)による解析も終了している。6月中にはデータ化を完了し、MRI・血液検査などのデータと共にAIに入力していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、採血収集したファブリー病の患者群の年齢・臨床データ・遺伝子解析結果を入力し総合的なデータベース構築を目指す。具体的な目標としては、①病原遺伝子における遺伝子異常同定の迅速化 ②病原遺伝子以外のゲノム・遺伝子環境 ③各患者における臨床情報との相関性 ④AIによる統合的診断アルゴリズム・データベースの構築 ⑤互酵素補充・遺伝子治療などの治療介入による詳細な変化、となる。 これらにより将来の進化した診断アルゴリズムの構築・ゲノム変化対応の患者情報の一元管理を目指し、可能であればクラウドシステムにアップして利便性を諮る。 この際、すでに構築されている超音波診断におけるAI活用を参考とする。
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Causes of Carryover |
ファブリー病患者に対する採血がやや遅れ、その分のRNA抽出・データ化の外注要請が遅れており、受領金額予算の大部分は今後使用していく予定になっている。
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