2018 Fiscal Year Research-status Report
腸管神経系と免疫系のクロストーク破綻による腸炎症の病態解析
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18K07898
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤村 理紗 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教 (30376363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 明美 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 准教授 (90359597)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸管神経 / 腸管免疫 / 腸炎 / 好酸球 / IgA / IL5 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、腸管神経過多であるNcx-KOマウス腸管でみられた①好酸球の増加原因・②①の生理学的意義、③IgA抗体産生についての解明を目的に解析を行った。 ①(1)Ncx-KOマウス腸管では好酸球を誘導する役割があるIL5の発現が非常に高かった。他のサイトカイン・ケモカインである、IL33・RANTES・eotaxin1/2・MCP1/2などの発現上昇は認めなかった。(2)Ncx-KOマウス腸管でのIL5発現上昇が、T細胞または自然リンパ球によるものなのか調べた。anti-CD4抗体を投与しCD4T細胞を消去、または自然リンパ球分化に重要な転写因子RORaのインバースアゴニストSR3335を投与したが、Ncx-KOマウス腸管組織のIL5発現は依然高く、好酸球の増加は投与前と同等であった。(3)IL5発現が腸管神経によるものか調べるために、マウス胎生期12.5日齢より腸管神経堤細胞を抽出し、神経分化を誘導した。LPS+IL4刺激24時間後に免疫染色を行ったところ、Tuj1(神経マーカー)とIL5の共局在を認めた。以上の結果から、腸管神経は、IL5を産生し好酸球誘導に関わることが示唆された。 ②EoDTRTgマウス(ジフテリアトキシン(DT)により好酸球欠損誘導)の凍結胚を導入しNcx-KOマウスと交配を行った。DTを投与し、末梢血の好酸球減少を認めたが、腸管では減少を認めなかった。DTの濃度をあげて検討したが、マウスが死亡し、実験系を成立させることができなかった。 ③IgA産生の場として重要な小腸パイエル板について調べたところ、T/ B・CD4/8T細胞比、B細胞分化割合など特に差を認めなかった。一方、糞便中IgAについてELISA法により、Ncx-KOマウスでは減少傾向を認めた。またNcx-KOマウスでは、IgA+plasma B細胞の減少を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、研究の焦点である①腸管神経と好酸球集積及び腸炎病態への関与について、Ncx-KOマウス腸管における、好酸球を誘導するIL5の高発現を認めたこと、またその産生細胞が免疫系細胞メインではなく、腸管神経によるものではないかと考え、裏付ける実験として、腸管組織または腸管神経の培養系における免疫染色法で、腸管神経とIL5の共局在を認めたことは大きな進捗である。また、腸管神経由来サイトカインIL5が、生体内腸管組織において、好酸球の誘導に関わるか調べるために、ゲノム編集システムによるIL5-KO/Ncx-KOマウスの作製と解析を平成31年度に施行するにあたり、すでに、マウス線維芽細胞に電気穿孔法を用いて導入し、ガイドRNAの選定を行い、Ncx-KOまたは野性型マウスの受精卵を用いてガイドRNA/cas9タンパクの電気穿孔法導入によるIL5-KOマウスの作製を行っている。抹消血における好酸球の減少も認めており、平成31年度に行う予定の解析も詳細に行える状況にある。また、好酸球の腸管における生理学的意義についての解析で、EoDTRTgマウスの使用は中止したが、それに変わる方法として、ゲノム編集システムを用いたGATA1KO(好酸球欠損)マウスの作製を行っている。現在、マウス線維芽細胞に電気穿孔法を用いて導入し、ガイドRNAの選定が済み、マウス作製を行っており、計画の遅れはないと言える。焦点②腸管神経とIgA抗体産生への関与について、計画通り、抗体産生の場であるパイエル板にあるリンパ球の解析を進めており、Ncx-KOマウスではIgA+plasma細胞の減少を認め、今後の研究対象の焦点をさらに絞ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、腸管における腸管神経の直接的な機能をより詳細に明らかにすることが大きな目的である。①好酸球の増加原因の解析については、IL5-KO/Ncx-KOまたはIL5-KO/WTマウスの繁殖をすすめ、好酸球誘導の比較について検討を行う。差がなかった場合、IL5またはこれまで調べたサイトカイン・ケモカイン以外、GM-CSFまたは神経伝達物質などについて関与について検討を行う予定である。IL5の関与については免疫染色法を用いた解析からもアプローチを行い、腸管神経とIL5、好酸球の位置的関係について詳しく調べる。②①の生理学的意義については、好酸球欠損であるGATA1KO/Ncx-KOマウスを確立し、好酸球が腸管において守護的な役割を果たすのかについて、腸炎の自然発症の有無、腸内細菌叢のバランス、DSS誘導腸炎モデルを用いて腸炎病態への関与などについて検討を行う。③IgA抗体産生については、リンパ球そのものに機能異常が無いか調べるために、パイエル板より抽出した、ナイーブB細胞についてIgAクラススイッチを行い検討する。また、in vivoにおいても、IgA抗体の分泌について詳細に調べるため、マウス経口免疫を行い、糞便中の抗原特異的な抗体についてELISA法を用いて調べる。また、腸管における神経とリンパ球の位置関係をより明らかとするために、各神経・免疫系マーカーを用いて、組織透明化法により、三次元的に検討を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Allergic TH2 Response Governed by B-Cell Lymphoma 6 Function in Naturally Occurring Memory Phenotype CD4+ T Cells2018
Author(s)
Ogasawara T, Kohashi Y, Ikari J, Taniguchi T, Tsuruoka N, Watanabe-Takano H, Fujimura L, Sakamoto A, Hatano M, Hirata H, Fukushima Y, Fukuda T, Kurasawa K, Tatsumi K, Tokuhisa T, Arima M
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Journal Title
Front. Immunol.
Volume: 9(750)
Pages: 1-17
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 胆道閉鎖症の病態形成における制御性T細胞の意義2018
Author(s)
笈田 諭, 齋藤 武, 坂本 明美, 照井 慶太, 中田 光政, 小松 秀吾, 原田 和明, 秦 佳孝, 勝海 大輔, 古金 遼也, 藤村理紗, 幡野 雅彦, 吉田 英生
Organizer
第45回日本胆道閉鎖症研究会