2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of TLL1-TGF-beta interaction in the development of liver fibrosis and hepatocellular carcinoma
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18K07915
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
堤 進 (浜田進) 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30367693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (30580576)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝繊維化 / 発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
メタロプロテアーゼをコードするヒトTLL1遺伝子内の多型rs17047200(A/T)はC型肝炎排除後の肝発がんを予測する遺伝因子として同定された。発がんに関連するリスクアレルT保因者ではC末端側を欠失したTLL1 タンパクをコードする短いmRNA (short variant)の発現が有意に上昇していた。TLL1 の既知の基質である Chordin を用いて全長の TLL1 mRNA(variant 1)と、4 種の short variant mRNA(variant 2, 3, 4,および 5)がそれぞれコードする TLL1 タンパクのプロテアーゼ活性を測定した結果、全長 TLL1 のみ Chordin 切断活性を示した。したがって、リスクアレル保因者では機能喪失型TLL1 が増加し何らかの理由で発がんに寄与することが予測された。すなわち TLL1 は発がんに抑制的であることが示唆された。 炎症によって誘導され血管内皮の増殖を促進するANGPTL2 はTLL1の基質であることが報告されている。この ANGPTL2 は骨肉腫の増殖を促進する機能も報告されており、発がんプロモータとして作用することが予想される。全長TLL1を用いたプロテアーゼ試験を行なった結果、ANGPTL2切断活性を示した。以上から、TLL1はANGPTL2を減少させることにより発がんを抑制すること、リスクアレル保因者ではTLL1活性が不足することにより発がんリスクが高まる可能性が示唆された。 一方、ANGPTL2が作用する血管内皮細胞における TLL1の役割を探るため、その発現をヒト臍帯血管内皮細胞 HUVEC を用いてモニターした結果、初代ヒト肝細胞(肝臓実質細胞)、初代ヒト肝星細胞(肝内繊維芽細胞)に比べ高発現していた。したがって、肝臓内の TLL1 は主に血管内皮細胞から供給されることが示唆された。
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