2018 Fiscal Year Research-status Report
Study for Establishment of Endoscopic Diagnosis of Colorectal Serrated Lesions
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18K07925
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山田 真善 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (80454239)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鋸歯状病変 / 大腸前がん病変 / 内視鏡診断 / 遺伝子変異 / 臨床病理学的特徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は鋸歯状病変(過形成性ポリープ、SSA/P、古典的鋸歯状腺腫)のJapan NBI expert team (JNET)分類を用いた内視鏡診断精度を調査した。JNET分類は画像強調内視鏡の一つであるNBIを用い、その表面模様と微細血管模様から病変はtype 1~3に分類される。過形成性ポリープとSSA/Pはtype 1に、古典的鋸歯状腺腫は、管状腺腫と同様にtype 2に、管状腺癌はtype 3に分類される。具体的には、2015年4月から12月の期間に当院で切除された表在型の大腸病変1558病変を対象とし、病理診断が確定していた1402病変のJNET分類所見を調査した。過形成性ポリープは72病変、SSA/Pは113病変、古典的鋸歯状腺腫は10病変含まれていた。本研究からJNET分類のtype 1の感度と特異度はそれぞれ75%と96%、type 2では91%と70%であり、ほとんどの鋸歯状病変はJNET分類で適切に分類され、正しい内視鏡診断に繋がっている事が明らかとなった(Kobayashi S, Yamada M*, et al. United European Gastroenterol J. in press., *,corresponding author)。
次に、当院でⅢH型とⅣ型pit patternと診断され、病理学的に古典的鋸歯状腺腫と診断された128病変を収集し、内視鏡的所見について再評価を行った(肉眼型、色調、JNET分類、pit patternなど)。さらに、臨床病理学的特徴(年齢、性別、病変の局在、癌併存の有無など)、PTPRK-RSPO3融合遺伝子およびRNF43の不活化変異を含めた遺伝子変異の解析を行った。具体的にはKRAS、BRAF、NEAS、CTNNB1、APC、RNF43、GNASの遺伝子解析をサンガー法で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)鋸歯状病変に対する内視鏡診断精度の調査 具体的な病変の調査に入る前に、鋸歯状病変がどのような精度で内視鏡診断されているか実態調査を行った。調査には、最近報告されたJNET分類の所見を用いた。本研究からJNET分類のtype 1の感度と特異度はそれぞれ75%と96%、type 2では91%と70%であり、ほとんどの鋸歯状病変はJNET分類で適切に分類され、正しい内視鏡診断に繋がっている事が明らかとなった。この結果によって鋸歯状病変それぞれが大きく異なる2つの特徴を呈する事がわかり、本研究を行う上で大きな進歩となった。この結果は論文発表した(Kobayashi S, Yamada M*, et al. United European Gastroenterol J. in press., *,corresponding author)。
2)IIIH型とIVH型 pit patternと診断された鋸歯状病変の臨床病理学的特徴と分子病理学的背景の解析 当院でIIIH型とIVH型 pit patternと診断され、病理学的に古典的鋸歯状腺腫と診断された128病変を収集し、それらの内視鏡的所見について再評価を行った(肉眼型、色調、併存病変の有無、JNET分類、不随するpit pattern分類など)。さらに、臨床病理学的特徴(年齢、性別、病変の局在、癌併存の有無など)、PTPRK-RSPO3融合遺伝子およびRNF43の不活化変異を含めた遺伝子変異の解析を行った。具体的にはKRAS、BRAF、NEAS、CTNNB1、APC、RNF43、GNASの遺伝子解析をサンガー法で行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は2018年度の解析結果を基に、遺伝子変異と内視鏡所見との関連について解析する。さらに、これまでに腺腫や鋸歯状病変で発現亢進が報告されているβ-catenin、CK20、Ki-67、MYC、MLH1に対する免疫化学組織染色を行い、結果を解析する。
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Causes of Carryover |
(未使用額が発生した状況)2018年度に該当病変の遺伝子抽出からシークエンス解析までを行った。これまでの遺伝子解析の結果と内視鏡所見の対比を一旦行うため、さらなる遺伝子解析を変更し、免疫染色や内視鏡画像解析を行い、統計処理に基づく遺伝子解析と内視鏡所見との対比を行う事としたため未使用額が発生した。
(次年度における未使用額の使用内容)このため、内視鏡画像解析と、免疫染色、統計解析、残存遺伝子解析、学会発表を次年度に行う事とし、未使用額はその経費に充てる事としたい。
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Research Products
(2 results)