2018 Fiscal Year Research-status Report
硬化性胆管炎に対する腸内フローラを介した治療法の探索
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18K07931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 由佳 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80724658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 勇人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555609)
木下 裕人 公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 教授(移行) (50645322)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 原発性硬化性胆管炎 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスにメトロニダゾールとネオマイシンを投与し、糞便中の細菌について培養法と16S rRNAを用いた定量的PCRで測定した。抗生剤の3週間の投与により糞便1gあたりの細菌数が10^8.5+/-0.3から10^7.0+/-0.2まで減少した。マッコンキー培地で培養された腸内細菌科細菌は10^6.5+/-0.5から10^5.1+/-0.3まで減少した。この条件下で原発性硬化性胆管炎モデルであるKRT19陽性細胞誘導性CDH1ノックアウトマウスモデルに抗生剤投与後タモキシフェンの投与によって肝内胆管傷害を誘導した。抗生剤投与中のマウスでは体重減少が減弱していた。タモキシフェン投与後3w時点で肝組織を摘出しHE染色で病理像を検討した。通常飲水群では既報のごとく門脈周囲、とくに胆管を中心にリンパ球を中心とする炎症細胞浸潤が誘導され、硬化性胆管炎類似の病理像と考えられた。この炎症反応はメトロニダゾール+ネオマイシンによる抗生剤投与群では著明に減弱していた。さらにシリウスレッド染色によって線維化について検討した。通常飲水群では門脈および胆管周囲に鮮明な膠原繊維の沈着がみられたが、抗生剤投与群では淡い色素の沈着にとどまっていた。免疫染色で病変の特徴を検討した。通常飲水群ではKRT19陽性の胆管襞の肥厚がみられた。CD45陽性リンパ球は通常飲水群で著明に胆管周囲への浸潤がみられたが、抗生剤投与群ではCD45陽性リンパ球は減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗生剤投与による腸内細菌叢の変化を明らかにした。またKRT19陽性細胞誘導性CDH1ノックアウトマウスモデルを用いて胆管炎を安定的に誘導し、解析することが可能となっている。さらに抗生剤投与による胆管炎の変化について部分的に解析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
メトロニダゾールとネオマイシン投与群において腸内細菌叢でとくに変化している細菌を同定し、培養する。またその細菌が胆管炎に与える影響を解明するために培養した細菌を抗生剤前投与したマウスに移植し、タモキシフェンによる遺伝子変異を誘導し胆管病理像を検討する。また腸内細菌叢が胆管炎に影響するメカニズムを解析するために、腸管透過性について抗生剤投与や細菌移植によって変化がみられるか測定する。 また高脂肪食などの栄養素や、自律神経、ホルモンなどの臓器間連関が胆管炎と腸内細菌叢に与える影響について、それぞれの刺激因子を投与して検討する。
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Causes of Carryover |
研究者の異動等により、当初予定の通りに研究が進展せず、次年度に持ち越すこととなった。
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