2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of MCP-1 and sSiglec9 in the animal models of acute liver failure
Project/Area Number |
18K07936
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石上 雅敏 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90378042)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 急性肝不全 / MCP-1 / sSiglec-9 / マクロファージ / 炎症抑制 / 肝再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①今までMCP-1+sSiglec-9(2Pro)の効果を示してきたD-galactosamine(D-gal)誘発急性肝不全モデル以外での汎用性の検討、②D-gal誘発急性肝不全モデルにおいて未だ明らかではなかった肝再生促進の機序について検討を行った。 ①ConcanavalinA誘発マウス急性肝不全モデルにおいて15mg/kg静注後3時間の時点で2Pro群とPBS(コントロール)群に分けると有意に2Pro群における投与7日目までの生存率が高かった(P=0.0107)。ただし、ピークである投与24時間後ではALT値は両群間では大きな差は見られなかった。炎症の程度に差はないにも関わらず生存率に差が出るのがその後に引き続く肝再生の差なのかどうかのメカニズムについては現在検討中である。CCL4誘発急性肝不全マウスモデルにおいては、2ml/kgのCCL4投与後24時間にて2Pro、もしくはPBSを投与、比較検討を行うと、投与5日目までの生存率はやはり2Pro群で高い傾向にあり(P=0.0539)、ALT値は低い傾向にあった。現在こちらについてもメカニズムについて検討を行っている所である。 ②D-gal誘発ラット急性肝不全モデルにおいて肝再生マーカーであるFn14, TWEAK, HGF, β-cateninについて検討した。従来の1.2g/kg投与時ではFn14の発現は1日目に、TWEAK,HGF, β-cateninについては2日目にピークを迎えた。興味深いことに半量の0.6g/kg投与ではこれらのピークが1日目にずれることがわかり、壊死が小さい分より早く肝再生機序が発現するものと考えた。またD-gal投与後24時間で2Pro群とPBS群で比較検討すると、2Pro群においてHGF,β-catenin、EpCAMの発現が高いことが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度においての当初の目標として、(1)すでに証明されているD-galactosamine急性肝不全モデル以外での効果の検証、(2)現象としてははっきりしているものの未だ明らかではない詳細な肝再生メカニズムの検討を行うこととした。 他モデルの検討においては、ConcanavalinA、CCL4モデルともMCP-1+sSiglec-9によるコントロール群と比較して有意な生存率の改善傾向を認めたものの、既報にあるConcanavalinA:15mg/kg、CCL4:2ml/kgの投与においては肝障害(ALT上昇)が強すぎたせいか両群において有意な差が認められなかった。そのため当初の仮説であるマクロファージの極性転換→肝再生促進のメカニズムによるものか、あるいはこの2因子が直接肝再生の何らかのステップに作用している可能性の2つが考えられ、検討が必要となっている。現在は投与量、および投与タイミングの再検討を併せて行っている所である。 肝再生メカニズムにおいては、real-time PCRの技術的な問題もあり少しデータ収集に一時難渋はしたものの、条件調整の後上記研究実績のようなデータを得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度においてはConcanavalinA、CCL4モデルにおける至適投与量、タイミングの決定と、すでにD-galactosamineモデルにおけるメカニズムとの異同の確認、また、肝再生メカニズムにおける肝内マクロファージ、およびHGFの主要産生細胞である星細胞の役割を明らかにするため、免疫組織染色によるモデル作成後の炎症惹起性、炎症抑制性マクロファージ、および活性化、静止期星細胞の動態、およびin vitroにおける炎症刺激後のマクロファージ、星細胞と初代肝細胞の共培養による肝再生促進メカニズムにつき、肝再生促進の程度と、その詳細な分子メカニズムについて検討を行って行きたい。
|
Causes of Carryover |
必要物品購入をしていく過程でどうしても323円という端数の残金が生じてしまい、無理に使用するより次年度に繰り越した方がよいと判断したため。繰り越した残金は次年度に消化する予定である。
|