2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K07937
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山田 玲子 (高山玲子) 三重大学, 医学部, 助教 (80571629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 広介 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (90455535)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 一次線毛 / 膵癌 / KRAS / EGFR抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
変異型KRASを発現するヒト膵癌モデル細胞や既に樹立されているPanc1などの膵臓癌細胞株を用いて、脱ユビキチン化酵素を標的とするsiRNA及び阻害剤、そしてEGF受容体中和抗体のin vitro評価を行なった。膵癌細胞株では一次線毛が観察されにくく、肺癌の細胞株(H23)を用いたところ、EGFR抗体を投与した際に一次線毛がはっきりと観察され、一次線毛形成促進と細胞増殖抑制効果があると考えられた。H23はKRAS変異(G12C)を持つ細胞株であり、EGFR抗体の効果が乏しいと言われている腫瘍である。 上記の実験結果をもとに、ヌードマウスの皮下に腫瘍(H23)を移植し、EGFR抗体投与群と非投与群で腫瘍の縮小の有無や程度を比較した。個体数は未だ少ないものの、EGFR抗体投与群において明らかな腫瘍の縮小効果を認めた。KRAS変異がある場合、EGFR抗体は腫瘍縮小効果がないとされているが、EGFRからの異なる経路である脱ユビキチン化酵素(USP8)を介して一次線毛が発現し、細胞増殖が停止するという機構が働いたため、縮小が得られたと推察した。 一方、切除した腫瘍を病理学的に検索すると、EGFR抗体投与群と非投与群のいずれの群においても一次線毛が認められ、明らかな差は認めなかった。病理学的に検索できるのは切除したタイミングのみであるため、今後はEGFR抗体などの抗腫瘍に働く薬剤を投与してから切除するまでの時間の調整を行い、一次線毛の発現の程度を検索していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫不全マウスへの腫瘍移植モデルを用いてEGFR抗体投与群と非投与群で腫瘍の縮小の有無や程度を比較し、EGFR抗体投与群において明らかな腫瘍の縮小効果を認めた。現在は個体数を増やして検討しており、研究の進行具体は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌細胞株での研究をこのまま進めていくと同時に膵癌細胞株でも同様に免疫不全マウスへの膵癌細胞を移植し、EGFR抗体投与群と非投与群で腫瘍の縮小の有無や程度を比較する。 また、組織学的検索として、膵癌の切除検体を用いて膵癌組織において一次線毛の発現の有無や程度を検討する。
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Causes of Carryover |
物品を購入する時期が遅くなり、次年度使用となった。
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