2019 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析と組織学的解析によるH. pylori除菌後胃癌高危険群の特定
Project/Area Number |
18K07946
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
兒玉 雅明 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (20332893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和成 大分大学, 医学部, 教授 (00239485)
沖本 忠義 大分大学, 医学部, 講師 (90381037)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Helicobacter pylori / 除菌後胃癌 / 次世代シーケンサー / TP53 |
Outline of Annual Research Achievements |
除菌前、除菌5年後の6例、HP未感染例4例を用い凍結組織よりDNAを抽出、次世代シーケンスはタカラバイオに委託、Ion AmpliSeq Cancer Panelを用い50種の癌遺伝子のDNA変異解析をIon Protonシーケンサー (ライフテクノロジーズ社)により高速シーケンス解析を実施した。変異が見られた遺伝子はHRAS、STK11、JAK3、ALK、MLH1等13種であった。 Hotspot変異はHRAS, MLH1, PDGFRAにみられた。変異数は平均7.33 (6-9), Hotspot変異は平均0.83 (0-2)であった。また除菌前後に変異の変化は認めなかった。HP未感染例の変異数は平均7.75 (6-9), Hotspot変異は平均2 (1-3)であった。以前の胃癌における変異数の平均(novel/hotspot)は、除菌前分化型群(17.8/3)、除菌後分化型群(13.6/0.6)、除菌前未分化型群(19.5/3)、除菌後未分化型群(15/2.5)であった。今回の結果と比較し、非胃癌群(10例)と胃癌群(20例)は変異数は7.5 vs. 10.0 であり有意に非胃癌群変異数が低値であった(P=0.041)。Hotspot変異数(1.3 vs. 1.5)に有意差を認めなかった(P=0.32)。未感染群、HP陽性非胃癌群はHP陽性未分化群と比較しそれぞれ有意に変異数の低値を認めた。また非胃癌群になく胃癌群のみでみられるTP53,PIK3CA,ATM,MET等の変異を認め、これら遺伝子の胃発癌へ関与が示唆された。これら遺伝子による多数の解析により胃癌リスク抽出につながることが期待される。除菌前後の非胃癌群に変化をみなかったのは①HP感染非胃癌組織では変異が起きていない、②除菌にて遺伝子変異に変化はない、③今回の解析以外の遺伝子変異の存在等の可能性が考慮された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
除菌後胃癌は115症例、129病変の解析を進めている。このうち除菌後分化型胃癌は113症例、未分化型胃癌は16症例が解析中であり、症例は漸次増加している。除菌後未分化型胃癌16例は、これまでの報告をみても本邦の中でかなり多数例である。しかし、次世代シーケンサー解析のため更なる症例の集積は必要である。現在、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションを用いた癌周囲の非胃癌部組織の採取を進めている。 次世代シーケンサー解析においては、非胃癌組織に比べ胃癌組織において見られる点突然変異がある程度認められており、今後更なる症例の集積、また非胃癌部との比較検討により胃癌リスクとなる遺伝子変異の特定に向けた解析を続ける。 1988年から2017年までに胃粘膜解析を行った症例は8858例に上る。このうち1988から2012年に内視鏡検査施行、HP陽性にて除菌に成功し3年以上内視鏡的経過観察を受けた331例において前庭部および体部大弯の2点の組織を用いupdated Sydney systemに準拠し組織学的炎症、活動性、萎縮、腸上皮化生(IM)の推移を除菌前より経時的に評価している。除菌成功例331例(男性192例, 女性139例, 平均年齢57.3±11.4歳)において除菌後5年追跡71例, 15年追跡30例, 17年追跡し得た症例は16例であり、除菌後20年に経過が達する症例も増加しており、これらも適宜解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、30例、延べ36件体の次世代シーケンサー解析を行った。これより、未感染群、除菌前と5年後経過後の変化、またH. pylori陽性および除菌後の各分化型、未分化型胃癌の変異遺伝子の相違を把握することができた。胃癌特有の遺伝子変異がいくつか考えられており、今後の方策として、解析を行った胃癌組織の周辺組織よりレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)を用いて、非胃癌組織を採取、これよりDNAを抽出し次世代シーケンサー解析を行う予定である。同一症例の胃癌部とそのすぐ周辺非胃癌組織での遺伝子変異の差をつかむことが出来れば、より胃発癌に関与する遺伝子変異の絞り込み、またそれを用いた各型の胃癌リスク因子の把握につながることが期待される。 現在、解析を行った胃癌症例のパラフィンブロックより組織の採取、LCMによるひ胃癌部組織の採取を開始予定である。
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Research Products
(37 results)
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[Journal Article] Dysbiosis of the Gut Microbiota on the Inflammatory Background due to Lack of Suppressor of Cytokine Signalling-1 in Mice.2019
Author(s)
Gendo Y, Matsumoto T, Kamiyama N, Saechue B, Fukuda C, Dewayani A, Hidano S, Noguchi K, Sonoda A, Ozaki T, Sachi N, Hirose H, Ozaka S, Eshita Y, Mizukami K, Okimoto T, Kodama M, Yoshimatsu T, Nishida H, Daa T, Yamaoka Y, Murakami K, Kobayashi T.
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Journal Title
Inflamm Intest Dis
Volume: 3
Pages: 145-154
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Examine the Availability and Safety of Mucosal Cutting Biopsy Technique for Diagnosis of Gastric Submucosal Tumor.2019
Author(s)
Mizukami K, Matsunari O, Ogawa R, Hirashita Y, Okamoto K, Fukuda K, Sonoda A, Akiyama H, Ozaka S, Kawahara Y, Okimoto T, Kodama M, Murakami K.
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Journal Title
Gastroenterol Res Pract
Volume: 3121695
Pages: 1~6
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Endoscopic gastric mucosal atrophy as a predictor of colorectal polyps: a large scale case-control study.2019
Author(s)
Kawahara Y, Kodama M, Mizukami K, Saito T, Hirashita Y, Sonoda A, Fukuda K, Matsunari O, Okamoto K, Ogawa R, Okimoto T, Murakami K.
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Journal Title
J Clin Biochem Nutr
Volume: 65
Pages: 153-159
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] びらん性胃炎.2019
Author(s)
兒玉雅明、沖本忠義、水上一弘、村上和成.
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Journal Title
消化管症候群(第3版)Ⅰ -その他の消化管疾患を含めて- Ⅱ十二指腸 十二指腸潰瘍. 別冊日本臨牀 領域別症候群シリーズ №9
Volume: 別冊
Pages: 80-84
Peer Reviewed
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[Presentation] Helicobacter pylori Infection Increases the Risk of Colorectal Polyps: A Large Scale Case-Control Study2019
Author(s)
Kawahara Y, Kodama M, Mizukami K, Saito T, Hirashita Y, Sonoda A, Fukuda K, Matsunari O, Okamoto K, Ogawa R, Okimoto T, Murakami K.
Organizer
American College of Gastroenterology Annual Scientific Meeting
Int'l Joint Research
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