2018 Fiscal Year Research-status Report
ピロリ菌除菌後の胃発がんにおける新規バイオマーカの解析および臨床応用の検討
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18K07948
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三橋 慧 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70772127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 英一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60567915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胃がん / ヘリコバクターピロリ / マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ピロリ菌除菌後の胃発がんに関わる遺伝子異常を同定し、発がんリスク予測マーカーとして臨床応用することを目的とする。胃がん予防目的のピロリ菌除菌治療が普及し、今後は除菌後の胃発がん対策が急務になると考えられる。これまでに申請者らは、ピロリ菌感染によって誘導されるメチル化異常の蓄積が胃がんリスク予測マーカーとなること、マイクロバイオーム(微生物群ゲノム)と消化器がんの発生の関連について報告してきた。しかし除菌後の胃におけるメチル化異常、除菌後の胃内マイクロバイオームの変化については殆どわかっていない。そこで、除菌後発がん症例の除菌前後におけるゲノム・エピゲノム解析とメタゲノム解析により除菌後発がんの分子病態を明らかとし、除菌後発がんリスクおよび早期診断体系を構築すること目指している。 内視鏡治療の適応となった胃がん患者さんを対象としているため、本研究課題について当学の倫理審査委員会へ申請し、平成31年1月に実施の許可が下りた。同年2月より、患者さんからの同意を得た上で、腫瘍からの遺伝子抽出・精製や培養実験を開始しており、今後の解析に必要な検体数の収集を行っている。少数例であるが次世代シークエンスを用いた網羅的解析を開始し、その結果について検討中である。 これまでの研究では、ピロリ菌感染によって誘導される遺伝子異常が注目されているが、除菌後に発生した胃がんに着目した研究は殆どない。今後、胃がん予防目的の除菌治療が普及するに伴って、除菌後に発症する胃がんへの対策が重要になると予想される。除菌後胃がんの分子病態を明らかとすることで、除菌後胃がんの予防・早期発見に必要な知見が得られると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①ピロリ菌除菌後発がん症例と非発がん症例のエピゲノム、メタゲノム解析 ②非がん部における除菌後発がんに関連する遺伝子異常の同定 ③除菌前後の胃がんの分子病態の比較 当初計画していた平成30年度の目標は上記であり、少数例ながらいずれもすでに開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の目標である「多数例での検証と機能解析」へ順調に向かうことができている。対象が「内視鏡治療を受ける胃がん患者さん」のため、多くの施設から症例や検体を集積することができればさらに解析が早く進むことになる。当科の関連施設へ広く呼び掛けていくことで、研究の更なる推進を期待したい。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンスに必要な試料等を共同研究者と使用しており、本年度は余剰物品のみで解析していた。本来今年度使用予定としていた試料等の購入費が来年度必要となり、総費用としては当初の予定と同程度になる見込みである。
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