2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis and clinical application of novel biomarkers in gastric carcinogenesis after H. pylori eradication
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18K07948
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三橋 慧 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70772127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 英一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60567915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胃がん / ヘリコバクターピロリ / 制酸薬 / PPI / H2ブロッカー / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究結果より、1) 胃がんの悪性度とペプシノーゲンIIに関連があること、2) 既報通りペプシノーゲンは制酸薬内服の有無により値が大きく変動すること、3) 胃がん組織のマイクロバイオーム検索は菌量が少ないため困難であること、以上がわかっていた。よって、胃がんと制酸薬内服状況の関係について検討を行った。 全体に占めるH. pylori除菌後の症例は64 %(41/64)であった.PPIやH2ブロッカーなど何らかの制酸薬を内服している症例は,除菌前群で35 %(8/23)に対し,除菌後群で83 %(34/41)と有意に多い(P < 0.0001)ことがわかった.また,除菌前群において制酸薬の有無と肉眼型に関連を認めなかったが.除菌後群では,制酸薬内服があると隆起を有する病変(0-I,0-IIa,0-IIa+IIc)が多く,制酸薬内服がないと平坦・陥凹病変(0-IIb,0-IIc)が有意に多い(P = 0.028)ことがわかった.除菌後発症の胃がんは制酸薬内服の有無により発症頻度やサブタイプが異なる可能性が示唆された。 次に、除菌後発症の胃がんに注目し、制酸薬あり群4例・なし群3例について、それぞれがん部・非がん部の組織を採取し、メチル化アレイを行った。制酸薬あり群は多くのCpG islandでメチル化を来たしている一方、制酸薬なし群では3例中2例が低いメチル化レベルを呈していた。また、一方の群で有意に高度なメチル化を示していた遺伝子のうち、過去に胃がんの悪性度に影響を与える可能性があると報告されているものを例示すると、制酸薬あり群ではCHFR(E3 ubiquitin protein ligase)、制酸薬なし群ではRUNX3(Runt related transcription factor 3)が挙げられ、それぞれの群で異なった分子生物学的特徴を持つと考えられた。
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