2018 Fiscal Year Research-status Report
大腸腫瘍血管新生の分子病態解明と新規診断・治療法の開発
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18K07949
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山本 英一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60567915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん間質 / 腫瘍血管 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がん微小環境の分子機構を明らかにするため、我々は大腸がん組織および正常大腸組織から上皮と間質を分離してRNA-seq解析を行い、腫瘍血管内皮細胞およびがん線維芽細胞(cancer-associated fibroblast, CAF)におけるAEBP1 (Adipocyte enhancer-binding protein 1)の高発現を同定した。 AEBP1は大動脈平滑筋およびアディポサイトに発現する遺伝子として同定され、転写調節因子として働くと考えられている。近年ではがん遺伝子としての機能が示唆されているが、AEBP1とがん間質との関係はこれまで知られていない。これまでの解析から、我々はAEBP1が大腸がん間質において重要な役割を担うことを明らかにしつつある。まず免疫染色の結果、AEBP1は大腸のほぼ全例においてがん間質に発現し、特に浸潤部に高発現することを見いだした。血管内皮細胞HUVECを用いた解析から、AEBP1は大腸がん細胞との共培養によって発現誘導されること、AEBP1のノックダウンはAQP1 (aquaporin 1)、POSTN (periostin)などの腫瘍血管関連遺伝子を含む多数の遺伝子発現を変化させ、血管内皮細胞の増殖・遊走・チューブ形成を阻害し、さらにマウスxenograftモデルにおいて微小血管新生と腫瘍形成を抑制することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍血管新生におけるAEBP1の重要性を明らかとすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
AEBP1を標的とした治療法の可能性を探索する。 AEBP1はがん線維芽細胞(cancer-associated fibroblast, CAF)においても高発現しており、CAFにおいても、AEBP1がCAFの増殖、活性化、大腸がん細胞の遊走・浸潤、腫瘍血管新生を促進する可能性が示唆された。CAFにおけるAEBP1の機能的意義を明らかとする必要がある。
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Causes of Carryover |
AEBP1抗体を用いたChIPシークエンスの条件検討に時間がかかり、シークエンスまでできなかった。タグ融合AEBP1を過剰発現させ、抗タグ抗体でChIPを行うことが可能となったので、次年度にシークエンスで使用する。
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Research Products
(11 results)