2020 Fiscal Year Annual Research Report
An anticancer strategy of genes driven by KRAS-activating mutations
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18K07957
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
大浪 俊平 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 主任研究員 (60291142)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | BMP4 / PHLDA1 / Colorectal cancer / KRAS G12 mutation / Therapeutic targets |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌患者 (CRC)では軽度異型粘膜の段階からKRASドライバー変異が高頻度に認められる。従って、RAS経路はKRAS変異型CRCに対して魅力的な分子標的であるが、CRCに対するKRASシグナル伝達経路を標的とする明確な臨床治療薬は未だ存在しない。本研究では、大腸癌906症例の新鮮手術検体を用いた全エクソーム解析からの遺伝子異常プロファイルや患者の背景因子等の情報に基づいて、KRAS G12変異活性化シグナル、特にKRAS G12変異によって誘導される新規のKRAS活性化パートナー遺伝子を同定することを目的とした。 KRAS野生型CRC (n=390)とKRAS codon12変異 (KRAS G12) CRC (n=240)を対象として網羅的遺伝子発現解析を行い、KRAS G12変異型の下流で機能する特徴的な潜在的エフェクター分子を探索した。KRAS野生型CRCは、RASの垂直経路であるPIK3CA、 PIK3CD、 PIK3CG、 BRAF、ARAF、RAF1、RALGDS、RGL1-3およびHRAS、NRASに変異を有する症例は解析から除外した。解析の結果、KRAS G12 変異型において高発現する特徴的な11個の候補遺伝子を同定した。これらの候補遺伝子について、6種類のKRAS G12変異体を導入した293細胞株においてBMP4、 PHLDA1およびGJB5の3遺伝子が、KRAS野生型導入細胞株に比較してKRASG12A、KRASG12DおよびKRASG12V変異体導入細胞株において有意に高い発現レベルを示し、これらの3遺伝子についてはKRAS、BRAF、PIK3CA野生型をもつCaco-2大腸癌細胞株においても同様に誘導された。本研究の結果は、KRAS G12活性型CRCにおいて機能するシグナル伝達分子を標的とする新しい治療法の開発に繋がることが期待される。
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