2019 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性解除による食道扁平上皮癌新規治療法の開発
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18K07959
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
夏井坂 光輝 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80642446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / 癌幹細胞 / EGFR阻害剤 / MEK阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの固形癌において癌幹細胞が同定され、治療抵抗性、再発、転移に深く関与していることが明らかとなった。申請者らは食道扁平上皮癌(ESCC)においてCD24Low/CD44High細胞が癌幹細胞であることを同定し、fibroblast growth factor-2(FGF-2)を介したFGFR/Erk経路が癌幹細胞の維持に重要であることを報告した。FGFR/Erk経路を阻害し、腫瘍中のCD24Low/CD44High癌幹細胞を抑制することで治療抵抗性を解除し、抗癌剤、放射線に対する治療効果が飛躍的に向上することが期待される。本研究はFGFR阻害剤、MEK阻害剤による抗癌剤、放射線治療感受性改善効果を食道扁平上皮癌オーガノイド、3次元培養法、動物モデルを用いて検証している。 当該年度は主にヌードマウスを用いたxenograft実験を遂行した。ESCC細胞株TE8、TE11、T-TeRAS細胞をヌードマウスへ皮下移植し、腫瘍体積が200mm3を越えた時点でFGFR阻害剤、MEK阻害剤を投与した。FGFR阻害剤、MEK阻害剤の併用により、5FU、CDDP、放射線治療に対する感受性は有意に上昇した。Xenograftより腫瘍細胞を分離してFACSにて解析すると、FGFR阻害剤、MEK阻害剤によりCD24Low/CD44High細胞が有意に減少しており、ESCC癌幹細胞であるCD24Low/CD44High細胞が減少することで抗癌剤、放射線に対する感受性が上昇したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた動物実験を順調に遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は臨床検体を用いたオーガノイド実験を予定している。ESCC切除検体から腫瘍細胞を分離し、オーガノイドを作成する。オーガノイドにFGFR阻害剤、MEK阻害剤を添加し、5FU、CDDP及び放射線治療感受性をKi67染色(腫瘍増殖能)、Tunel染色(アポトーシス)により評価する。また、オーガノイド中に含まれるCD24Low/CD44High細胞の割合をFACSにより解析する。
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Causes of Carryover |
再現性を確認するためヌードマウスを用いたxenograft実験が1回未実施であり、そのために次年度使用額が生じた。次年度に速やかに同実験を遂行する予定である。
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