2018 Fiscal Year Research-status Report
患者由来膵癌細胞を用いた分子標的としてのヒストン修飾機構の解明
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18K07962
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 陽介 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80466755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 弘明 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (00814500)
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピゲノムとは、DNAの配列変化を伴わずに遺伝子転写を制御するDNAメチル化やヒスト ン修飾の総称であり、細胞分化、代謝状態や免疫応答と相互に関連し合うことから、多彩な機序で膵癌の性質に影響を及ぼしうる。そのエピゲノム修飾を標的とする薬剤は近年海外を中心に次々に開発され、一部の血液腫瘍ではすでにグローバルなDNAメチル化阻害薬(AZA)やHDAC阻害剤が臨床導入されている。ただし膵癌ではAZAやHDAC阻害薬の有効性は示されておらず、また様々なエピゲノム修飾酵素を阻害する特異的な分子標的薬の有効性についても未だ十分な検討はなされていない。 研究代表者の中井および分担者らは、過去三篇の論文において膵癌細胞におけるエピゲノム制御の重要性を明らかにしてきた。その報告においてヒストン脱メチル化酵素KDM6B遺伝子のLOHを同定し、KDM6Bの発現低下が癌抑制遺伝子CEBPAの発現を直接抑制することで 膵癌の悪性度を増加させることを示した。また患者由来膵癌ゼノグラフトを用いてBET inhibitorの癌随伴性線維芽細胞CAFを介した有効性を報告した。エピゲノム修飾の標的薬剤は近年海外を中心に臨床試験が行われているが、膵癌に対する有効性はいまだ不明である。その原因として、患者個々の膵癌細胞のエピゲノム解析が容易ではないことが一因である。今回我々は前検討の患者由来膵癌ゼノグラフトを用いた解析で、ヒト膵癌に有効なエピゲノム修飾阻害化合物を新たに4種類同定した。本研究ではその有効性と分子学的機序について解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者由来膵癌ゼノグラフトを用いた解析で、ヒト膵癌に有効なエピゲノム修飾阻害化合物を新たに4種類同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物の増殖抑制効果のメカニズムについて、DNA合成阻害による増殖抑制の有無、あるいはアポトーシス誘導の有無などについて、増殖アッセイ、フローサイトメーターによるDNA合成能評価、Caspaseの活性化やcleaved PARPの増加の有無、TUNELアッセイなどにより検討する。
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Research Products
(2 results)