2020 Fiscal Year Annual Research Report
Functional abnormalities of macrophages based on the alteration of iron metabolism and their involvement in the pathogenesis of inflammatory bowel disease
Project/Area Number |
18K07969
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
松浦 稔 杏林大学, 医学部, 准教授 (30402910)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 鉄動態 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-10 KOマウスおよび野生型(WT)マウスに普通飼料と同濃度の鉄を含む食餌(通常鉄群)と含有鉄濃度を減らした食餌(鉄制限群)を8週間投与し、体内の鉄動態を比較検討した。通常鉄群および鉄制限群のいずれにおいても、WTマウスと比べIL-10KOマウスでは組織学的腸炎を認め、血清Hepcidin値は有意に高かった。またIL-10KOマウスにおけるHistologic scoreは通常鉄群と比べ鉄制限群で有意に低下し、食餌鉄の制限による腸炎の軽減が示された。他の鉄代謝マーカーの検討では、鉄制限をしたIL-10KOマウスでは慢性炎症に伴う鉄動態異常(血清鉄上昇、UIBC低下、血清フェリチン上昇)を認め、一方、通常鉄群ではさらに鉄欠乏所見(血清鉄低下、UIBC上昇)も加わった複雑な鉄代謝動態を示し、腸炎の悪化に伴う消化管出血の影響が示唆された。次に慢性腸炎の病態がマクロファージ細胞レベルの鉄動態に与える影響を検討した結果、通常鉄群と比べ鉄制限群で腸管マクロファージにおける細胞内鉄量(FerroOrangeにて評価)が有意に減少し、細胞膜上のFerroportin(FACSにて評価)の発現が上昇していた。さらに腸管マクロファージのphenotype解析では、通常鉄群に比べ鉄制限群では成熟マクロファージ(Ly-6Clow,MHC-ⅡHigh)が減少し、CD206陽性のM2マクロファージが増加していた。またCiclopirox olamineを用いて細胞内鉄をキレートしたマクロファージ細胞株(J774)をLPS(100ng/ml)で刺激した結果、対照群と比べ、鉄キレート群では炎症性サイトカインの産生が有意に低下した。以上より、IBD動物モデルにおける慢性腸炎は生体内の鉄動態を変化させ、マクロファージの細胞内鉄量の増加と機能亢進を介して慢性腸炎の病態に関与している可能性が示唆された。
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