2019 Fiscal Year Research-status Report
植物性ナノ粒子による非アルコール性脂肪性肝疾患に対する新規薬効成分の探索
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18K07975
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮明 寿光 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (20437891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 陽子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70393460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植物由来ナノ粒子 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / shogaol |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的>本研究では様々な植物より抽出したナノ粒子分画を細胞株やモデルマウスに投与し、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に有効な植物性ナノ粒子分画の薬効を同定、検証する。続いてナノ粒子が含有する低分子化合物を同定し、植物性ナノ粒子を用いて新たなNAFLDの薬効成分を見いだすことを目的とする。 <方法とこれまでの結果>植物 (生姜、グレープフルーツ、カボス)の抽出エキスから、ショ糖密度勾配超遠心法を用いて、複数の分画を分離、回収した。それぞれの分画をナノ粒子トラッキング解析法を用いて粒子サイズ、ナノ粒子の量を解析し、これらの植物のナノ粒子分画を同定した。また植物の中で生姜由来のナノ粒子が肝細胞株に取り込まれることを確認し、ナノ粒子が取り込まれた肝細胞株に飽和脂肪酸(パルミチン酸 400μM)を添加すると、コントロールと比較して、脂肪摘が減少することを見いだした。またmRNAの発現ではβ酸化に関与するCPT1が脂肪摘の現象には関与していると考えられた。さらに肝癌細胞株では生姜由来ナノ粒子の容量をあげると増殖抑制効果があることも見出している。生姜のナノ粒子にはショウガオール (Shogaol) 含有されていることを薄層クロマトグラフィーで確認を行った。このshogaolが脂肪分解や肝がんの抑制効果に関与していると考えられた。 一方でNAFLDの進展因子である肝細胞の脂肪毒に対するアポトーシスの抑制や星細胞の活性化やコラーゲン産生の抑制の効果はナノ粒子分画において見いだせなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
植物由来ナノ粒子の中で、見出した生姜由来のナノ粒子の細胞株への投与実験はおおむね順調である。 生姜以外の他の植物のナノ粒子の細胞株投与を行えていない。 一方で動物実験に必要な生姜由来ナノ粒子の回収の量が十分でなく、動物実験が進んでいない。 抽出量の問題を解決するため、ナノ粒子の抽出方法をショ糖勾配遠心以外のカラム法を用いて検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
生姜由来ナノ粒子の肝癌細胞株への増殖抑制のメカニズムについて検討予定である。 生姜由来のナノ粒子の抽出法を検討し、NAFLDのマウスモデルの実験を行う。 生姜以外の植物由来ナノ粒子について細胞実験、NAFLDマウスモデルの検討を行う。 また、研究結果を国内外の関連学会で発表し論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
生姜由来のナノ粒子の抽出を行っているが、動物投与時には高容量のナノ粒子が必要であり、現在のショ糖勾配遠心法では動物実験に必要な、高濃度のナノ粒子の抽出ができずに当初予定していた動物実験が行えていない。このためマウスの購入や動物実験に必要な試薬やNAFLDマウスモデル作製の餌の購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。 次年度は生姜由来ナノ粒子の抽出の異なる方法も試みて、高濃度のナノ粒子の抽出法を見いだせれば、NAFLDのマウスモデルを用いて実験を行う予定である。 さらに他の植物種由来のナノ粒子についての検討も継続する予定である。 また本研究に関係する国内外の学会にも参加して、他の施設の試みや最新の情報を収集する予定である。
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