2019 Fiscal Year Research-status Report
癌間質相互作用と癌組織の多様性を標的とした進行膵癌に対する分子治療法開発の試み
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18K07981
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 賢一 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10282055)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / PKM" / Periostin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、進行膵癌症例に対する画期的な治療法の確立を最終目標に、1)膵癌幹細胞と非癌幹細胞の両者共通となる治療標的分子を同定し、2)その分子治療がPeriostin(POSTN)の直接的な膵癌細胞への進展促進的な作用とともに、間接的なTumor-associated macrofage (TAM)の誘導などを介した癌進展機構を誘導しないか検証することである。その目的を遂行するために、1)膵癌幹細胞と非癌幹細胞の両者の増殖を抑える分子の同定;2) 1)で同定した分子の発現を抑制あるいは発現亢進させた場合の間質におけるPOSTNに対する影響の検証;3) 分子治療の効果を動物実験にて検証することを計画している。現在、膵癌幹細胞と非膵癌幹細胞に対する治療効果のある物質や分子の同定のために、Patient-derived xenograft(PDX)より得た膵癌細胞を用いるため、膵癌手術検体の一部を細切し、免疫不全マウス(NOD/Shi-scid, IL-2γnull, NOGマウス)の皮下に移植しており、PDXを作製中である。PDXから得られたPDX細胞にPKM2のショートヘアピンRNA(shRNA)を導入し、PKM2発現抑制細胞を作成する。PKM2発現抑制細胞をNOGマウス皮下に移植し、そこで増殖した細胞を膵癌幹細胞として用いるべく、予備実験として膵癌細胞株にPKM2のshRNAを導入し、その効果を確認している。代謝産物や発現変化する遺伝子についても同定している。また、膵癌間質でのPOSTNの役割を詳細に検討すべく炎症からの発癌へPOSTNがどのように関与しているか検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDXの作製に関してはやや遅れているが、PKM2shRNAを数々の膵癌細胞株に導入しその効果や代謝産物の変化などを同定しており、基礎実験が進行している。また、POSTNの炎症から発癌に関する役割について、大腸の炎症モデルを使って基礎検討を行い、順調に結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
PDXの作製スピードを促進させながら、基礎検討を進める。膵癌細胞においてPKM2発現抑制したときの、代謝産物の変化や遺伝子産物の変化を詳細に検討し、目的の分子や分子機構を類推しながら、実験を計画する。
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Causes of Carryover |
予定よりPDX作製数が少なかったことと、代謝産物や遺伝子産物の網羅的解析に対する出費が予定より少なかったため。
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