2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of invasive propagation of pancreatic cancer cells via exosomes and discovery of inhibitors of invasive propagation
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18K07983
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
島崎 猛夫 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (50377420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 聡子 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助手 (00768161)
松尾 洋一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40381800)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソーム / 膵癌 / 頭頚部癌 / EMT / 共培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エクソソームが癌の転移や化学療法抵抗性に重要な役割を担っており、浸潤性や治療耐性に関与するmicroRNAを含んだexosomeを介して全体の抗癌剤耐性や浸潤性を増加させていることを明らかにする研究である。3年目は、2年目に引き続き解析を行ない、薬剤によるエクソソームの反応とそのエクソソームが含まれる培地を共有した細胞の変化について解析を行った。また、膵癌細胞独自の特性であるか否かを解析するために、共同研究者と共に頭頚部癌細胞も解析に追加した。 方法:2年目の解析に引き続き、ヒト膵癌細胞PANC-1を含めた各種膵癌培養細胞株、また、コントロールとして、正常膵管上皮細胞PEを用いた。頭頚部癌培養細胞は、新たにHSC-3,HSC-4,SASの3種類を用いて各種評価を行った。用いる薬剤は、それぞれの癌腫に共通の抗癌剤であるシスプラチン,GEM、5-FUを使用し、低濃度であるIC80の濃度を設定した。抗癌剤により影響を受けた細胞が分泌するエクソソームが他の細胞に及ぼす影響について我々が開発した水平方向の共培養容器を用いて、その形態変化を上皮間葉転換(EMT)マーカーであるVimentinと共に解析した。 結果:膵癌細胞はGEMの暴露により、培養上清を共有する共培養下細胞に対してEMTを誘導し、その効果は、エクソソームが通過しないサイズのフィルターにて抑制された。また、スクラッチアッセイでは、共培養下の細胞の移動能が亢進していた。 考察:癌細胞においては、抗癌剤により誘導されたエクソソームを介してEMT及び細胞遊走能が亢進することを確認することができた。またこの変化は癌腫特異的ではなく、癌細胞に共通する現象である可能性が示唆された。 結語:癌細胞は、エクソソームを介して、悪性形質が伝播する可能性を見出し、その特徴は膵癌細胞のみならず、頭頚部癌細胞でも同様の結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響があり、必要な試薬等の入手が遅れ気味となり、その結果、実験の進行も遅れた。またスタッフの入れ替わりがあり、その影響も加わったため。
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Strategy for Future Research Activity |
重要なデータが取得できたため、今後、さらに機序の解明するための実験を追加する予定である。また、コロナ禍のため学会発表が行えなかった。今後は研究課題の結果を論文投稿予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、試薬の入手が困難となり、実験が中断した。中断した実験を次年度に行うこととして延長することとした。次年度使用額は当該実験の試薬の購入等に用いる。
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