2019 Fiscal Year Research-status Report
肥満とGERDによる酸化ストレスの相互作用がバレット食道発生を促進する
Project/Area Number |
18K07992
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
淺沼 清孝 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (10431553)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バレット食道 / 肥満 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦においてヘリコバクターピロリ感染の低下と共に胃食道逆流症(GERD)が増加している。GERDは食道腺癌の高リスク因子であり、食道扁平上皮の円柱上皮化であるバレット食道を経て発生する。バレット食道・腺癌の増加に肥満の関与が報告されてきたが、詳細な機序は不明である。本研究は肥満が酸化ストレス制御の重要な因子であるNrf2-keap1に与える影響を検討しバレット食道発生メカニ ズムを解明し食道腺癌抑制機序を明らかとすることである。 1. 動物モデルを用いた検討: 8週齢・雄ラットを用いて慢性逆流性食道炎モデ ルを作成し通常食投与(Ctl群)し、2週後と4週後の食道検体を採取し継時的にバレット食道発生を評価した。加えて高肥満食投与した群(Obs群)を 設定しCtl群と食道円柱上皮化率を比較した。2週間時点でバレット食道発生はCtl群13% (2/15)、 Obs群20%(3/15)、4週間でCtl群30%(3/10)、Obs群40%(3/8)とObs群でバレット発生頻度が多い傾向を認めたが有意差を認めなかった。 2. 培養細胞を用いた検討: ヒト不死化食道扁平上皮細胞 (NES-B3T, NES-B10T)を用いてpH5.5, 0.4 mM酸性胆汁酸を投与しadipokineである10 ng/mL leptinの有無で円柱上皮化の重要因子であるBmp4発現とNrf2-Keap1の指標としてNqo1発現をRT-PCRで測定した。BMP4発現はleptin投与群で上昇傾向を認めたが有意差を認めなかった(1.2±0.3 vs. 1.6±0.4, NS, t-test)。しかしNqo1発現はleptin投与にて上昇した(1.5±0.5 vs. 2.3±0.4, p< 0.05, t-test)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度の動物実験結果から長期観察(8週間)における生存率が悪くデータ収集が困難であった事を考慮し、今年度のモデル作成における胃酸逆流を減弱させた。その結果、食道炎症レベルが低下し円柱上皮発生率が低下したものと考察する。 ヒト不死化食道扁平上皮細胞の培養は非常に困難であったが、年後半から安定した培養が可能となりシグナル伝達についての研究を開始できた。培養細胞実験においてBMP4発現に変化を認めなかったことは投与leptinの濃度が低い為と推測する。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 動物実験において長期観察を実施する。食道炎症レベルを低下させた事により、短中期での円柱上皮化の発生は低下したが長期生存が可能となった。長期観察での発生率を検討する。 2. 培養細胞の安定培養が可能となった為、シグナル伝達の実験に注力する。 3. 3D cultureモデルの作成: ヒト不死化食道線維芽細胞 (BEF-hT)をcollagen gel内で培養し、その上にNES-B10Tを培養することで三次元培養モデルを作成する。
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Causes of Carryover |
実験計画の遅延により試薬購入等が不要となった為。
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