2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of small intestinal ulcer disease using organoid
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18K07995
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 篤生 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80534932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 喜裕 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10529192)
新倉 量太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90625609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小腸 / 潰瘍 / 分化障害 / 出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度はバルーン内視鏡で診断した小腸潰瘍性疾患症例のデータを用いて、出血、再出血のリスクの判定法について多施設での検討を行い、有用な初期治療法を探索した。また潰瘍発生メカニズムの検討のためにバルーン内視鏡を施行した症例よりクローン病2例、薬剤性小腸潰瘍1例、小腸癌1例よりオルガノイドを作成した。小腸癌由来のオルガノイドは他疾患のオルガノイドより有意に細胞増殖能の更新が見られた。また小腸癌由来のオルガノイドは通常の培養条件よりEGFを除いても増殖可能でありEGF-Kras-MAPKシグナルの活性化が示唆された。 小腸潰瘍性疾患の発生メカニズムの解析目的で、マウス正常小腸細胞からオルガノイドを作成し、炎症細胞との共培養におけるマウス小腸上皮細胞の変化を検討した。骨髄由来樹状細胞とオルガノイドの共培養によってオルガノイドの形態異常が誘導された。またUEA1陽性の杯細胞が減少していた。 2019年度は小腸上皮細胞オルガノイドと樹状細胞共培養系を用いて小腸上皮分化障害機序の検討を継続した。腸炎モデルであるIL10ノックアウトマウス大腸組織から樹状細胞を抽出し野生型オルガノイドと共培養を行うとオルガノイドの形態異常・分化障害は野生型マウス樹状細胞との共培養時より有意に悪化した。このオルガノイドの分化障害はα7nACh受容体の刺激によって減弱した。この効果はオルガノイド単独培養に投与した際には見られず、細胞間相互作用に関連していると考えられた。また樹状細胞特異的、またオルガノイド(腸上皮)特異的にα7nACh受容体をノックアウトしα7nACh受容体アゴニストの効果を検討したところ、樹状細胞のα7nAChRがオルガノイドの分化異常誘導に関与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小腸潰瘍性疾患のモデルとしてマウス小腸オルガノイドの変形および分化異常に関連する機序を検討し、炎症性腸疾患モデル由来の樹状細胞が上皮細胞の分化障害を惹起すること、さらに神経伝達物質受容体であるα7nACh受容体がこの障害の抑制に関連していることを見出した。細胞特異的なα7nACh受容体の役割を明らかにするためにα7nACh受容体のコンディショナルノックアウトマウスの解析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
生体モデルを用いてα7nACh受容体刺激が分化および腸炎に与える影響を明らかにする。また神経と小腸の臓器相関について検討する。さらに肥満などの生活習慣による小腸傷害のモデルについて検討するためにマウス正常小腸細胞から作成したオルガノイド培養に脂肪酸を添加し、その影響を検討する。生体においても腸炎モデルマウスに高脂肪食を負荷し、腸管上皮細胞の分化に与える肥満の影響を検討する。また樹立した臨床検体からのオルガノイドを免疫染色によって評価する。
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Causes of Carryover |
一部試薬が安価で入手できたため、次年度使用額が生じた。 次年度の試薬購入に充足する予定である。
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Research Products
(6 results)