2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of cellular competition mediated by autophagy-related proteins
Project/Area Number |
18K08016
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山科 俊平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30338412)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲見 義宏 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70445500)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 細胞競合 / p62 / カテプシンL |
Outline of Annual Research Achievements |
①細胞競合における弱者と強者をわける細胞間コミュニケーションのメカニズムの解明 JHH5(p62蓄積性肝癌細胞)細胞株とp62欠損JHH5細胞株、Huh-1(p62蓄積性肝癌細胞)細胞株とp62欠損Huh-1細胞株より蛋白を抽出し、電気泳動後、銀染色を行ったところ、p62発現有無により蛋白発現が変化することがわかった。さらにマイクロアレイ解析によってp62発現有無により発現が変化するmRNAも検出された。これらのことからp62発現変化によって細胞内の遺伝子発現や蛋白発現がダイナミックに変化することが明らかとなった。一方、一部のリソソーム蛋白分解酵素カテプシンを欠損させることによりオートファジー機能を保ちつつp62発現を亢進することが可能なカテプシンL欠損マウスを用いた検証ではNrf2-Notchシグナル活性化を介した機序で肝再生亢進が誘導されることを明らかとした。細胞競合で強者となる細胞では弱者細胞に対し細胞増殖が優位に立っていることが報告されているのでp62有無によって誘導される細胞競合現象でもNotchシグナルが重要である可能性が示唆された。 ②時限式強者細胞株を用いたp62蓄積癌細胞に対する新規治療法の開発 ドキシサイクリン(DOX)プロモーターカスパーゼ7発現プラスミド(DOX-Caspase7)をp62欠損細胞に遺伝子導入し、ドキシサイクリン添加によって細胞死を誘導する時限式強者細胞株を樹立した。Huh-1細胞株、JHH5細胞株ともにDOX-Caspase7プラスミド導入p62-/-Huh-1細胞とp62-/-JHH5細胞を樹立したが、JHH5細胞株に関しては細胞増殖が遅いため細胞特性の評価に時間がかかっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点までにp62発現変化によって細胞株における蛋白発現とmRNA発現が大きく変化することを明らかにすることができた。蛋白や遺伝子解析も順調に進展しているのでおおむね順調と考えている。また一番時間がかかると想定していたDOX-Caspase7プラスミド導入細胞株の樹立に関してもHuh-1細胞株、JHH5細胞株ともに樹立に成功したので、細胞死誘導などの検証はまだ残っているが、こちらもおおむね順調と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
p62蛋白発現の有無によって発現が変化する蛋白が複数同定されたので、免疫染色によって細胞内の蛋白局在を明らかにする。また引き続きp62発現の有無によって発現が変化する蛋白の特性に関しての解析を継続するとともに、p62発現の有無によって発現が変化する糖鎖に関しての検討を行う。同定されたp62有無によって発現が変化する蛋白に対する抗体を用いて、肝切除術が行われた肝癌患者の臨床検体の免疫組織染色を行い癌部と非癌部の境界面での蛋白発現変化を評価する。またこの蛋白発現がその後の再発率や抗癌剤治療、予後にどのように関連するかについても統計的手法を用いて検証する。p62-/-Huh-1細胞とp62-/-JHH5細胞両方のDOX-Caspase7プラスミド導入細胞株を樹立したので、DOX添加によって、細胞死がどの程度誘導されるのか、naive細胞を駆逐後にDOX-Caspase7プラスミド導入細胞を死滅させin vitro抗癌治療が可能であるかを引き続き検証しているところである。また同様の検討をゼラチン培地を用いた3D培養によっても検討する予定である。これらの検討をもとにヌードマウス皮下にp62陽性細胞株を移植し、腫瘤形成後に、DOX-Caspase7発現p62欠損細胞を追加で移植する。経時的にサンプリングを行い、腫瘍がいつDOX-Caspase7発現p62欠損細胞に置換されるのかを検証する。タイムコースが分かった状態でこれらのモデルマウスにDOX投与群と非投与群を作製し、in vivoイメージングによって腫瘤の変化について検証を行い、細胞競合を用いた癌治療がin vivoモデルでも有効かについて明らかとする。
|
Causes of Carryover |
細胞株の蛋白解析や遺伝子発現解析は順調に進行している。一方で解析に支出が多くなるものと推測している糖鎖解析は基盤や試薬に高額な費用を要するのでプロトタイプ実験をまず行っている。サンプリングの調整や糖鎖解析手技取得に時間を要したために、実際の解析が最終年度に持ち越しとなっている。糖鎖解析用のサンプリングは終了している状況であるので、次年度に糖鎖解析を行い、この解析の際に昨年度分の研究費の残額を充当することとなる。そのほかの研究に関しては予定通り並行して遂行する。
|