2018 Fiscal Year Research-status Report
Mucosa-associated microbiota and bacteriophage in the pathophysiology of irritable bowel syndrome (IBS)
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18K08020
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
塩谷 昭子 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80275354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00305575)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / サイトカイン / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)の患者7例(平均年齢57.4歳、男性4名食物アレルギー陽性者2名)あるいは健常対照者5例(平均年齢58.4歳、男性3名)に対して、以下の研究を行った。通常の前処置の後に大腸内視鏡検査を行い、内視鏡下にブラシを用いて回腸末端粘液を採取した。DNAを回収し、MiSeqによる16Sリボゾーム遺伝子のV3-V4アンプリコンシークエンス解析を実施した。末梢血を採取し、17種の食物抗原を含むMAST-36と血清サイトカインプロファイルを評価した。サイトカインプロファイルは、Milliplex MAP Human Cytokine/Chemokine Magnetic Bead Panel Immunoassayを使用して測定した。血清サイトカイン値や、食物アレルギーの有無と腸内細菌プロファイルとの相関を、JMPを用いて評価した。α多様性に関しては、いずれの評価項目においても健常対象群とIBS-D群に差は認めなかった。門レベルでの細菌構成に関しても健常対象群とIBS-D群はほぼ同様であったが、Lachnospiraceae科がIBS-D患者群で有意に少ない結果であった。食物アレルギーと腸内細菌の関連に関しては、食物アレルギー感作陽性IBS-D群はLachnospiraceae科が多く、Clostridiaceae科が少ない結果であった。サイトカインと腸内細菌の関連では、健常対象群においてLachnospiraceae科はIL-17の低値及びIL-6の高値と相関し、Clostridiaceae科はIL-4低値とIL-1β高値と相関した。IBS-D患者において食物アレルギーの有無によって腸内細菌叢の変容が認められ、その変容は全身性の微小炎症とも関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コントロール 10例 過敏性腸症候群 25例のブラシサンプルの採取を終えている。サイトカインの測定やMAST-36の評価も終了し、これらのサンプルを用いて腸内細菌叢について、次世代シークエンスを用いて追加の解析を行っている。バクテリオファージの研究は、研究協力者の所属の移動等により、一時中断の状況であるが、再開予定であり、方法論について現在、再検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは腸内細菌叢とアレルギー、サイトカインの関連性について健常者、下痢型過敏性腸症候群とで比較検討し、データをまとめて、今年度中に国内外の学会に抄録を提出し論文の作成に着手する予定である。バクテリオファージに関しては、さらに研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に予定していたサンプルの収集が少し遅れたために、検査代金の余剰が出た。今年度に、追加測定を予定しているため、検査代金に充てる予定。
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