2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of liver fibrosis by Wnt-b-catenin pathway
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18K08021
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Komagome Hospital (Clinical research laboratory) |
Principal Investigator |
木村 公則 東京都立駒込病院(臨床研究室), 肝臓内科, 部長 (70397339)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝線維化 / b-カテニン / 肝硬変 / Wnt 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
線維化は炎症や壊死などによる細胞障害とその修復の過程で生じる細胞外マトリックスの蓄積により生じる。この現象は生体防御機構の一種であり、通常は線維 分解系の作用により線維は溶解(脱線維化)されるが、加齢とともにこの分解系の機能が低下することにより線維化が進行する。最近の報告では、線維化は主要 な臓器不全の要因となっており先進国の約30%の死因に関与しているとされた(NEJM2015)。このような状況下で抗線維化治療薬の開発が喫緊の課題となってい る。今回申請者は抗線維化治療薬の標的としてWnt/β-カテニンシグナルに着目した。線維化のメカニズムでWnt/β-カテニンシグナルに焦点を当てて研究を実施 している研究施設は当研究室を含め国内外でまだわずかであり、CBP/β-カテニン阻害剤であるPRI-724でヒトHCV肝硬変症に投与し抗線維化治療効果を報告した のは申請者が最初であり、この研究分野では最先端に位置していると考える。本研究の目的は線維化のメカニズムとしてWnt/β-カテニンシグナルの重要性を証 明し、抗線維化治療薬としてCBP/β-カテニン阻害剤PRI-724の作用機序を解明することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、胆汁鬱滞肝線維化モデルを用いて研究を進めた。 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は原因不明の難治性肝疾患であり、胆汁うっ滞が肝細胞障害を引き起こすことにより肝線維化を生じる。現在肝硬変に対する抗線維化治療薬は存在せず、我々はCBP- b -catenin阻害剤であるOP-724の有効性を胆汁うっ滞線維化モデルを用いて検討した。 方法:8週齢雌MDR2KO miceとbackgroundであるFVB miceにvehicleとOP-724(20 mg/kg)を週3回腹腔内投与し6及び10週間投与した。投与後の血清を用いて、1)ALT, T.Bil 2)BioPlexパネルを用いて、cytokines、chemokines、MMPs 3)IL-11, PAI-1、EGR-1を測定した。また肝臓組織を用いて、1)H.E.染色、Sirius red染色, a-SMA, CK19, EGR-1免疫染色を行なった。さらに、肝臓からタンパク質を抽出し、a-SMA, b-catenin, CBP, P300、S100A4のWestern blotを実施し、hydroxyprolineの定量を行なった。最後に肝臓よりRNAを抽出し、PCR array (Wnt target, pathway)、EGR-1, Timp-1, PAI-1のreal-time PCRを実施した。結果:OP-724は、MDR2KOマウスにおいて、Sirius red染色による線維化面積、肝臓hydroxyproline定量の結果から、有意な抗線維化作用を認めた。MDR2KO miceではPRI-724投与後vehicle群と比較し血清ALTやT.Bilの低下を認め、TNFa, CXCL9, CCL5の低下も認めた。一方、投与後では血清MMP-8, 9, 12が有意に増加していた。PCR array(Wnt signal pathway and target)の解析から、投与後肝臓内EGR-1, IGF-2, TGFb3の発現が低下していた。結論:OP-724は胆汁うっ滞線維化モデルにおいて抗線維化作用を認めた。作用機序として、MMPsの上昇、肝障害の抑制効果が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
最近増加している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)マウスモデルを用いた線維化 モデルでの解析を行う。具体的には超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量飼料(CDAHFD)を用いたNASHモデルを利用し、PRI-724の抗線維化治療効果を検討する。ま た最近我々は、CBP-flox/ALB-Creマウスを樹立し、肝細胞のCBPシグナルと線維化の関与を検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた消耗品の購入を他の研究費で実施したため
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